2016.06.27
アイデンティティー権の活用範囲
2016年5月20日
現在、話題になっている「忘れられる権利」についてご紹介したいと思います。
目次
まず、ネットで使用される「忘れられる権利」とはどういったものか。簡単に言うと、一定期間経過したネット上の個人情報やプライバシーを侵害するような内容を削除してもらう権利のことです。それが、虚偽の内容であれ実際に起こした事件の内容であれ、過去の情報を消してもらうことが出来るのです。
有名な事例は2011年11月、フランスで始まった裁判でこの結果が一つの契機となり広く認知されるようになっていきます。詳細は割愛いたしますが、ネットにアップロードされていたご自身の過去の映像の削除を求めた裁判です。この方は過去の動画のせいで見知らぬ人に誹謗中傷を受け、その結果就職もできない状況に陥ったと主張しました。原告はグーグルを相手取り、該当動画が検索結果に現れないよう訴えを起こし、結果として原告は勝訴し、その主張は認められることとなりました。これが契機となり世界中で「忘れられる権利」の認識が高まってきています。
日本では、2014年10月に初めて検索結果の削除を認める仮処分が出ました。実際に、アップロードされている画像や個人情報などを掲載しているサイトに対して個々に削除依頼を出すことは困難です。そういった意味でこの場合、検索エンジン側に原告に対する人格権侵害に関して非がないにも関わらず原告の訴えを認める(検索結果にそもそも情報が出ないようにする)という内容は、過去の情報に苦しめられている人にとっては画期的な結果となりました。そんな中2015年3月、Yahooでも検索結果の削除に応じる際の新基準が公表されました。これは、世界の流れに併せて日本でも基準を変えていくべきという考えのもと変更されたのだと思います。
参考:「検索結果とプライバシーに関する有識者会議」の報告書を公表
http://publicpolicy.yahoo.co.jp/2015/03/3016.html
2016年2月には、判決において初めて「忘れられる権利」が明示された判決がさいたま地裁で出ました。それまでも「忘れられる権利」に該当する判決がは出ているものの明示されたのはこれが初めてのことです。
このように、世界中で認知され始めた忘れられる権利ですが、まだ十分に活用されていないのも事実です。現在では、忘れられる権利についての裁判が起きる度に記事として取り上げられ結果を知ることが出来ますが、逆に数えるほどし主張されていないとも言えます。
もっと広く認知されて一つの権利として、人々が活用出来るようになるにはまだ時間がかかりそうです。実際に上記のような問題で悩む方がいても「どのようにすればよいかわからない」「誰に相談すれば良いかわからない」「自分の内容がその問題に該当するかわからない」「そもそも忘れられる権利のことを知らない」「諦めて見て見ぬふりをするしかない」といったようにまだまだ認知度は低いと言えます。このような「個人情報についてネットに記載されて困っているけれどもどうすればよいかわからない」という企業や個人の方々はまずはご相談されてみてはいかがかと存じます。お悩みの際はご連絡くださいませ。
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