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コラム・レポート

繰り返されるバイトテロ 従業員に伝えるべき「悲惨な末路」

2021年8月30日

繰り返されるバイトテロ 従業員に伝えるべき「悲惨な末路」

もしも、日本国内における「デジタル・クライシス史」なるものが存在するなら、2021年6月の事象はその中の1ページに刻まれても不思議ではないかもしれません。

2021年6月に3件続発 コンビニ、飲食店でわいせつ不衛生行為

6月3日、大手コンビニチェーンAの店舗で男性店員らが起こしたのは、またしても「バイトテロ」でした。

社会問題となって久しいバイトテロ。言うまでもなく、アルバイトなどの従業員が勤務先の商品や什器などを使って悪ふざけ、いたずらをする様子をスマートフォンなどで撮影し、その動画などをSNSに投稿して炎上する現象です。

Aの店員たちがTikTokに投稿したのは、店舗のバックヤードに置かれたモニターを凝視する自分たちの姿でした。彼らの視線の先が盗み見ていたものは、レジで精算をする若い女性客の胸部だったのです。

世の中の女性たちにとって恐怖とも言える動画が投稿された翌日、大手宅配ピザチェーンBの店舗厨房でもバイトテロが発生します。
事件を起こした男性店員が働いたのは、店にあったシェイクをヘラで直接舐めるという暴挙でした。Instagramに投稿された動画はインターネット上で拡散し、瞬く間に炎上しました。

そして、極めつけとなったのは6月12日の事件です。
カレーライス専門チェーンCの店舗内で、休憩中と見られる男性店員がまかないのカレーの中に自身の体毛を入れる動画をInstagramのストーリーズで公開。あまりにも非常識な行動に批判が殺到しました。

これらの動画が炎上した経緯をたどると、最初に投稿した本人たちが想定していなかっただろう第三者によって拡散されたことが分かります。
Bの店員は特定の人しか見られない非公開アカウントを使って、Cの店員は投稿したコンテンツが24時間で消えるストーリーズで動画を配信していましたが、とめどない拡散を防ぐことはできませんでした。

こうした現象は一体、何を意味しているのでしょうか?

インフルエンサーがバイトテロの動画を拡散、メディアが迅速にキャッチ

日本で最初にバイトテロが発生したのは2007年、大手外食チェーンDの男性店員が豚肉を使って悪ふざけをした動画をニコニコ動画に投稿した事件と言われています。

その後、バイトテロ事件は鳴りを潜めたように見えましたが、SNSが普及し始めた2013年に急増。シエンプレの調査では、飲食店やコンビニを中心に20件近くもの不適切動画が投稿されています。

バイトテロ事件はその後も毎年のように繰り返され、2019年は10件を超える問題動画が炎上しました。
2020年は目立った事件がなかったことから「若者たちにも事の重大さが認知されてきたのではないか」との見方も出たものの、新型コロナウイルスの自粛ムードが緩んできたとも言われる2021年になって再び頻発しています。
つまり、バイトテロ事件は決して撲滅されたわけではありません。むしろ、これからも繰り返される可能性が高いと考えるのが自然でしょう。

一方、企業にとって、バイトテロ事件の発生は死活問題にもつながりかねません。被害が大きくなるリスクが高まっている理由は、先ほどの問いの答えにあります。

過去のバイトテロ事件ではSNSに不適切動画などが投稿された場合、同じプラットフォームで数万人規模のユーザーが飛びつき、リツイートなどのアクションをしていました。
そこから匿名掲示板でスレッドが立てられたり、ネットニュースに掲載されたりした結果、ある程度拡散したタイミングでテレビ、新聞などで報じられるケースが多かったと言えます。このため、SNSに投稿されてから数カ月後に炎上することも珍しくなかったのです。

ところが、最近は不適切な投稿を見つけた人がYouTuberなどのインフルエンサーに通報し、拡散を求めるパターンが増えています。そうしてインフルエンサーが発信した情報をメディアがいち早くキャッチし、タイムリーなニュースとして報じているのです。
炎上までのスピードは当然速まり、最初のSNS投稿からわずか3、4日でテレビニュースになってしまうことも少なくありません。

バイトテロに対して高額の損害賠償請求や刑事告訴も続出

バイトテロ事件が繰り返し報道され、重大な社会問題として認識されるようになった背景には、手口の悪質さがエスカレートする傾向にあることも関係しているでしょう。
あまりに傍若無人な振る舞いに世論の怒りも増す中、「もはや非常識というだけでは片付けられない」と危機感を募らせた企業側が損害賠償請求や刑事告訴に踏み切るケースも増えています。

事実、2019年にバイトテロ事件に見舞われた大手回転寿司チェーンEは株価が急落し、「悪ふざけ」の代償としてはあまりにも大きい27億円相当もの損失を被りました。
2013年に被害に遭った個人経営のそば店は計3,300万円の負債を抱えて破産。事件の当事者であるアルバイトの大学生らに1,358万円の損害賠償を求めて提訴しました(学生らが約200万円を支払うことで和解)。

ちなみに、2021年6月に相次いだバイトテロ事件を見ると、被害に遭った企業は当事者の店員たちを解雇しただけでなく、法的措置も含めて厳正な対処を検討すると発表しています。
裏を返せば、企業側が受けるダメージは解雇しただけでは済まないほど大きいということでしょう。

SNS研修やネット観測で万が一の炎上に対して備えを

とは言え、バイトテロ事件の防止に欠かせないのは、従業員自身がバイトテロは悪ふざけだったではすまないという意識を持つことです。

従業員のSNS教育では誓約書を書かせるほか、就業規則やガイドラインなどで企業側の基本姿勢を明確にしておく必要がありますが、通り一遍の説明をするだけでは時間の経過と共に忘れ去られてしまうでしょう。
バイトテロで炎上した企業の中には、従業員に対して入社時の研修や職場への携帯電話の持ち込み禁止を課しているにも関わらず、被害に遭ったというケースも多いのです。

そうしたことから、従業員には過去の炎上事例を用い、バイトテロ事件を起こした人の末路がどんなに悲惨なものかを定期的に伝える取り組みが不可欠と言えます。

不適切な行為が発覚した場合は多額の賠償金を求めて提訴されるリスクがあることに加え、本人の名前や住所、学校名などの個人情報が暴かれてしまえば、将来の就職や結婚にも悪影響が及ぶことになるでしょう。
もちろん、刑事事件になってしまえば、取り返しのつかないペナルティーを受けることになります。

さらに、例え非公開アカウントであっても、インターネット上にアップした情報は世界中に発信したのと同じであるという認識を持たせることも重要です。
近年は学校現場でもネットリテラシーの教育が盛んになっていますが、子どもたちに「SNSの仲間内には自分の敵もたくさんいる」と、ネットコミュニティーの本質を突くような指導まではしていないでしょう。

弊社が提供しているeラーニングの「従業員向けSNS利用研修」では、従業員が起こしたさまざまな炎上事例と悲惨な末路を理解させ、個人のSNSアカウントを利用する際の注意点も分かりやすく解説します。
自社のSNS運用マニュアルの作成・改訂にも役立てることができるなど、それぞれの企業の状況に応じた最適な研修プログラムをご用意します。

SNSに投稿されたバイトテロ事件などがネット上で拡散され、炎上してしまえば、自社の風評被害も引き起こしかねません。
不測の事態に備えては、24時間体制のWeb/SNSモニタリングなど費用対効果に優れた各種サービスも提供しています。
バイトテロ事件をはじめとしたデジタル・クライシス対策の強化をお考えの場合は、国内ナンバーワンの取引実績と豊富なノウハウを誇る弊社にぜひご相談ください。

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