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炎上事案分析データ2022年8月版 (調査対象期間:2022年8月1日~2022年8月31日)

2022年10月3日

炎上事案分析データ2022年8月版 (調査対象期間:2022年8月1日~2022年8月31日)

ネット炎上や情報漏えいなどのデジタル上で発生したクライシス(危機や重大なトラブル)を研究する、日本初の研究機関シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所(以下、弊研究所)は、2022年8月1日~8月31日に発生したネット炎上について件数とその内訳の分析結果を公開しました。

調査背景

2022年1月12日、弊研究所はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2022」(調査対象期間:2021年1月1日~12月31日)を公開しました。今回の調査は「デジタル・クライシス白書2022」の内容を補足するものです。

投稿内容に「炎上」というキーワードを含む2,874件の投稿から108件の炎上事案を抽出(※)。炎上の原因となった問題行動の主体、問題行動の内容、炎上を起こした企業の業種などの切り口から傾向を分析しました。

※弊研究所では「炎上」の定義を、「企業や団体、個人が発言した内容、行った行為がメディア上で掲載・拡散され、それに言及した批判や非難の投稿が100件を超えた場合」としています。

「デジタル・クライシス白書2022」をダウンロード

調査

調査期間:2022年8月1日~8月31日
調査対象:Twitter、Facebook、Yahoo!ニュース、Amebaブログ、FC2ブログ、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる など、SNS媒体と炎上拡大の要因となりやすい弊社選定媒体への投稿
調査方法:弊社ソーシャルリスニングツールを使用
分析対象投稿数:2,874件
抽出炎上事例数:108件

調査結果トピックス

・8月の炎上事案は108件でした。
・炎上事案の主体において、「著名人」が半数近くを占めた前月に比べ、「法人等」「一般人」の割合が増加し、均衡しています。
・炎上の原因は「不適切と判断される可能性のある発言・行為」が92件(85.2%)と大部分を占め、「法律に抵触する可能性のある行為等」は16件(14.8%)でした。
・炎上事案が最も多かった業界は「IT・メディア」業界でした。
・炎上事案が発生した日系企業21社のうち、18社が非上場企業でした。

分析コメント/シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 研究員 門屋智晃

2022年8月度の炎上発生件数は108件(前月比:73.0%)でした。
炎上の主体について見ると、一般人の炎上事案が34件(期間内の炎上件数の31.5%)と、前月より9.2ポイント上昇しています。公共の場での迷惑行為の様子を配信したYouTuberや、ゲームを有利に進めるための不正行為を行った実況者など、動画配信者の起こしたトラブルが引き続き複数確認されています。非常識だと捉えられかねない発言や行為は、引き続き炎上のリスクがあると考えられます。
また、炎上の要因となる問題行動の内容を見ると、分類2-4(特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)に該当する事案が46件と、8月の炎上事案の42.6%を占めています。
「男性とはこういったものだと決めつけた表現」を行った女性に対する批判や、障害者の支援団体のHP上に掲載した表現が、不適切な内容だとして批判された事案などが確認されています。
性別や障害者などに対しての差別的表現に関しては、これまでにも炎上が確認されており、今後も継続的に炎上しやすい話題と言えます。またこれらの話題はTwitterだけでなくまとめサイトにも転載され、元の発信内容とは違った形で情報が掲載され、意図しない形で炎上する可能性があります。
そのためこれらの話題に関する発信を行う際は、不適切だと思われる要素が無いか検討するのに加えて、その発信内容が曲解されて伝わるリスクが存在していないかも併せて確認する必要があると言えるでしょう。

調査結果詳細

抽出したデータは表1の基準に基づき分類しました。
また、問題行動の主体が「法人等」の場合、表2に基づき19の業界に分類しました。なお、表2に該当しない業界に関してはその他としてデータを処理しました。

(表1)

*参考:山口真一.(2015).ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」
*データ確認日時点でフォロワー数(もしくはチャンネル登録、読者登録)が一定数を超えている場合を著名人として定義しています。

(表2)

参考:業界動向SEARCH.COM https://gyokai-search.com/2nd-genre.htm

【炎上事案発生件数】

8月の炎上事案発生件数は108件でした。
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」38件(35.2 %)、「法人等」36件(33.3%)、「一般人」34件(31.5%)という結果でした。
前月と比較し、8月は一般人の炎上事案発生率が増加しています。

また前年同月比では、大きく変化はないものの、一般人の割合が3.7ポイント増加しています。

【問題行動の内容別件数】

炎上の原因となった問題行動のうち、92件(85.2%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為。」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為。」は16件(14.8%)と少数でした。

炎上の原因となった問題行動の内容としては「2-4」(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)に該当する炎上が最も多く、次いで「2-3」(非常識な発言・行為、デリカシーのない内容・発言・行為)に該当する炎上が多い結果となりました。

【炎上内容の詳細区分】

炎上内容の詳細を分析したところ、「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が17件、次いで「問題発言」に関する炎上事案が16件でした。

【業界別にみる炎上事案の特徴】

問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上36件を業界ごとに分類しました。炎上事案が最も多かったのは「IT・メディア」業界で11件(30.6%)でした。次いで「小売・卸」業界が6件(16.7%)、という結果でした。

【上場企業の割合】

問題行動の主体が「法人等」に該当する36件のうち、21件は日系企業でした。
(15件は自治体や社団法人、海外企業等。)
これらの日系企業が上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。
結果は「上場企業」3社(14.3%)、「非上場企業」18社(85.7%)でした。

また前年同月比では、上場企業の割合が10.6ポイント増加しています。

また従業員数でみると、「1,000人以上」の大企業が15件であり、日系企業における炎上の71.4%を占めました。

前年同月比では、1,000人以上の従業員数の企業の割合が33.5ポイント増加しています。

■炎上事案分析データ2022年8月版のダウンロードはこちらから

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シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 概要

名称:シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所
主宰:シエンプレ株式会社
所長:佐々木 寿郎
アドバイザー:村上憲郎(元Google本社副社長及び日本法人代表)
芳賀雅彦(元博報堂・PR戦略局シニアコンサルタント)
山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
徳力基彦(note株式会社 プロデューサー/ブロガー)
設立日:2020年1月10日
公式HP:https://dcri-digitalcrisis.com/

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