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炎上事案分析データ2023年6月版(調査対象期間:2023年6月1日~2023年6月30日)

2023年8月7日

炎上事案分析データ2023年6月版(調査対象期間:2023年6月1日~2023年6月30日)

シエンプレ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:佐々木 寿郎)は、一般社団法人 デジタル・クライシス総合研究所(住所:東京都渋谷区、所長:佐々木 寿郎、以下「デジクラ総研」)と共同で、2023年6月1日~6月30日に発生したネット炎上についての件数とその内訳の分析結果を公開しました。

調査背景

2023年1月31日、デジクラ総研はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2023」(調査対象期間:2022年1月1日~12月31日)を公開しました。継続調査の結果報告として、今回2023年6月に発生した炎上事案を、新たに分析しています。

投稿内容に「炎上」というキーワードを含む1,725件の投稿から98件の炎上事案を抽出(※)。炎上の原因となった問題行動の主体、問題行動の内容、炎上を起こした企業の業種などの切り口から傾向を分析しました。

※デジクラ総研では「炎上」の定義を、「企業や団体、個人が発言した内容、行った行為がSNSやWebメディア上に掲載・拡散され、それに言及した批判や非難の投稿が100件を超えた場合」としています。

「デジタル・クライシス白書2023」をダウンロード

調査の概要

調査期間:2023年6月1日~6月30日
調査対象:Twitter、Facebook、Yahoo!ニュース、Amebaブログ、FC2ブログ、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる など、SNS媒体と炎上拡大の要因になりやすいとデジクラ総研が判断した媒体への投稿
調査方法:デジクラ総研ソーシャルリスニングツールを使用
分析対象投稿数:1,725件
うち炎上事案数:98件

調査結果トピックス

・6月の炎上事案は98件でした。前月に比べ、10件減少しています。
・炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳は、「著名人」23件(23.5 %)、「法人等」28件(28.6%)、「一般人」47件(48.0%)でした。
・前月5月と比較し、「著名人」は15件、「法人等」は13件減少し、「一般人」は18件増加しています。
・前月5月は「著名人」が35.2%、「法人等」が38.0%、「一般人」の割合が26.9%でした。前月と比較すると「著名人」の割合(35.2%→23.5 %)、「法人等」の割合(38.0%→28.6%)が減少し、「一般人」の割合(26.9%→48.0%)が増加しています。
・なお2022年全体の炎上事案の主体の割合は、著名人が35.2%、法人等が35.4%、一般人が29.4%とそれぞれの割合が約3割ほどでほぼ均等でした。それと比較すると、23年6月は「著名人」「法人」の割合が低く、「一般人」の割合が高い結果でした。
・「一般人」が主体となった事例については、公共交通機関でのマナー違反をSNS上で公開する内容の投稿、アルバイト従業員の不適切行動を指摘する内容の投稿などがありました。
・また前年同月比では、炎上事案発生件数は34件減少しています。「著名人」が17件、「法人等」が22件減少し、「一般人」が5件増加しました。
・炎上の原因となった問題行動のうち、91件(92.9%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為」は7件(7.1%)と少数でした。
・前月と比較すると「不適切と判断される可能性のある発言・行為」の割合(88.0%→92.9%)が増加しています。
・問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上28件を業界ごとに分類しました。炎上事案が多かったのは「娯楽・レジャー」業界で、9件(34.1%)という結果でした。
・問題行動の主体となった「法人等」について、上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。上場区分に関して「上場企業」1社(5.9%)、「非上場企業」16社(94.1%)という結果でした。

分析コメント/国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授 山口真一 氏

6月の炎上件数は前月や前年同月に比べて減少していますが、1日当たり3件以上は依然として発生しています。そのため、引き続き予防と対策が求められています。
6月の炎上事例で印象的だったのは、あるガソリンスタンドの店員が著名人の来訪について「マジで嘘じゃないから信じてほしい」、「信じてもらえないかもだけどマジ」などと発言し、クレジットカードの種類や署名まで記載されたレシート画像をTwitterに投稿したことです。もちろん、この行為はプライバシー侵害であり、結果的に炎上してしまいました。レシート画像から勤め先が特定され、その企業の広報がメディアの取材を受けて謝罪する事態になりました。
これはいわゆるバイトテロの一種で、バイト従業員が来訪者の情報をSNSに投稿し、炎上する事例は後を絶えません。過去には有名ホテルや病院でも同様の事例が複数回発生しています。
企業としては、このような問題にどのような対策をすることができるでしょうか。特にアルバイト従業員を多く抱える業種(飲食業や宿泊業など)では、そのリスクは高く、対策に悩んでいるところも多いでしょう。
まず、社内ポリシーの策定は欠かせません。明確なガイドラインやポリシーを作り、役職に関係なく全従業員に周知することが大切です。これには、SNSの使用、プライバシー保護、顧客との対話方法、行動規範などが含まれます。しかし、このようなポリシーはなかなか浸透しづらく、周知してもすぐに忘れられがちです。そのため、定期的に研修・教育を行うことが必要です。研修の内容は、プライバシー保護やSNSの適切な利用方法だけでなく、問題が発生した場合の影響についても含めると良いでしょう。
そして、問題が発生したときに、すぐに検知し、社内で情報を共有できる体制を作ることも、リスク管理上重要です。検知システムを導入して問題をすぐに把握し、上司や他部門と共有できる体制を整えることが求められます。

調査結果詳細

抽出したデータは表1の基準に基づき分類しました。
また、問題行動の主体が「法人等」の場合、表2に基づき20の業界に分類しました。
なお、表2に該当しない業界に関しては「その他」としてデータを処理しました。
各グラフにおける割合については、全て小数点以下第2位を四捨五入しました。

(表1)

参考:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授):
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、 2016
職業が芸能人、政治家、アスリート、経営者である場合、それ以外の職業の対象者の場合はデータ確認日時点でフォロワー(もしくはチャンネル登録、読者登録)数が100万人を超えている場合に「著名人」として定義しています。

(表2)

参考:業界動向サーチ「ジャンル別業界一覧」 https://gyokai-search.com/2nd-genre.htm

【炎上事案発生件数】

6月の炎上事案は98件でした。前月に比べ、10件減少しています。
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」23件(23.5 %)、「法人等」28件(28.6%)、「一般人」47件(48.0%)という結果でした。

また前年同月比では、炎上事案発生件数は34件減少しています。「著名人」が17件、「法人等」が22件減少し、「一般人」が5件増加しました。

前月と比較し、6月の炎上事案発生率は「著名人」が11.7ポイント、「法人等」が9.4ポイント減少し、「一般人」が21.1ポイント増加しました。

前年同月比では、「著名人」が17.3ポイント、「法人等」が22.4ポイント減少し、「一般人」が5.1ポイント増加しました。

【問題行動の内容別件数】

炎上の原因となった問題行動のうち、91件(92.9%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為」は7件(7.1%)と少数でした。

炎上の原因となった問題行動の内容としては「2-4」(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)に該当する炎上が最も多く、次いで「2-3」(非常識な発言・行為、デリカシーのない内容・発言・行為)に該当する炎上が多い結果となりました。

【炎上内容の詳細区分別件数】

炎上内容の詳細を分析したところ、「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が28件、次いで「問題発言」に関する炎上事案が22件でした。

【業界別にみる炎上事案の特徴】

問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上28件を業界ごとに分類しました。炎上事案が多かったのは「娯楽・レジャー」業界で、9件(32.1%)という結果でした。

【上場企業の割合】

問題行動の主体が「法人等」の場合について、上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。
上場区分に関して「上場企業」1社(5.9%)、「非上場企業」16社(94.1%)という結果でした。
※「法人等」に該当する炎上事案のうち、日本国内に所在する企業の炎上事案を参照しています。

前年同月比では、上場企業の割合が1.5ポイント減少しました。

従業員数2,000人未満、売上高50億円未満の企業規模で多く炎上事案が発生しました。
一方で従業員数1.5万人以上の企業であっても炎上事案が発生していることから、どのような従業員数や売上高であっても、炎上は発生する可能性があると推測されます。

前年同月比では、企業の従業員数が1,000人以上の割合が3.2ポイント増加し、100人未満の割合が10.4ポイント減少しました。

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一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所 概要

名称:一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所
代表理事:佐々木 寿郎
アドバイザー:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
沼田知之(西村あさひ法律事務所所属弁護士)
設立日:2023年1月20日
公式HP:https://dcri-digitalcrisis.com/
関連会社:シエンプレ株式会社

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