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炎上事案分析データ2022年11月版(調査対象期間:2022年11月1日~2022年11月31日)

2022年12月26日

炎上事案分析データ2022年11月版(調査対象期間:2022年11月1日~2022年11月31日)

ネット炎上や情報漏えいなどのデジタル上で発生したクライシス(危機や重大なトラブル)を研究する、日本初の研究機関シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所(以下、弊研究所)は、2022年11月1日~11月30日に発生したネット炎上について件数とその内訳の分析結果を公開しました。

調査背景

2022年1月12日、弊研究所はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2022」(調査対象期間:2021年1月1日~12月31日)を公開しました。今回の調査は「デジタル・クライシス白書2022」の内容を補足するものです。

投稿内容に「炎上」というキーワードを含む21,271件の投稿から206件の炎上事案を抽出(※)。炎上の原因となった問題行動の主体、問題行動の内容、炎上を起こした企業の業種などの切り口から傾向を分析しました。

※弊研究所では「炎上」の定義を、「企業や団体、個人が発言した内容、行った行為がメディア上で掲載・拡散され、それに言及した批判や非難の投稿が100件を超えた場合」としています。

「デジタル・クライシス白書2022」をダウンロード

調査

調査期間:2022年11月1日~11月30日
調査対象:Twitter、Facebook、Yahoo!ニュース、Amebaブログ、FC2ブログ、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる など、SNS媒体と炎上拡大の要因となりやすい弊社選定媒体への投稿
調査方法:弊社ソーシャルリスニングツールを使用
分析対象投稿数:21,271件
抽出炎上事例数:206件

調査結果トピックス

・11月の炎上事案は206件でした。前月に比べ、32件増加しています。
・炎上事案の主体においては、前月に引き続き、各項目がほぼ均等な割合になっています。
・内訳では、「著名人」76件(36.9 %)、「法人等」63件(30.6%)、「一般人」67件(32.5%)という結果でした。「著名人」「法人等」「一般人」のいずれも増加傾向がみられており、「著名人」では23件、「法人等」では20件、「一般人」では41件増加しています。
・炎上の原因は「不適切と判断される可能性のある発言・行為」が190件(92.2%)と大部分を占め、「法律に抵触する可能性のある行為等」は16件(7.8%)でした。前月と比較すると「不適切と判断される可能性のある発言・行為」の割合が増加(87.4%→92.2%)しています。
・前月に引き続き、炎上事案が多かった業界は「娯楽・レジャー」業界でした。「娯楽・レジャー」業界は前月に比べ、3件増加しています。話題のゲームタイトルならびに映画の公開による影響がみられました。
・炎上事案が発生した国内企業45社のうち、38社が非上場企業でした。前月と比較すると非上場企業の占める割合が増加(73.8%→84.4%)しております。

分析コメント/国際大学グローバル・コミュニケーション・センター  山口 真一 准教授

11月は206件の炎上が確認されていて、10月の174件より増加する結果となりました。
また、同月で比較しても、2021年11月は122件、2020年11月は136件だったので、過去3年で最も多いといえます。
11月については特に、牛丼屋チェーン店にて、気温の低い屋外で制服を着た店員が接客トレーニングをしている動画が、通りがかりの人によって撮影され、ブラック企業だと批判が集中して炎上した事例が印象的でした。実は接客サービスの大会を控えており、エントリーしている従業員が自らこの時間にトレーニングをすることを希望して実施していたものでした。しかし、まとめサイトなどではそのような背景は調査されないため、誤解が広まって炎上したものです。
この事例からは、次の3点が学びとしてあります。
①いつ・どこででも撮影され、批判的な文脈で拡散される可能性があること。
②批判される際にその背景は理解されず、切り取られて拡散されること。
③いざ誤解を招いて批判された際は、迅速に事実確認をして正確な情報を発表することが重要であること。
①と②については、どのような場所であっても、常に、顧客だけでなく偶然通りがかった人に撮影され、拡散されることがあるといえます。そのため、そういった事態にならないように常に気を付けるだけでなく、いざそのような事態になった時に、迅速に事実確認をして正しい情報を発表する体制を構築しておくことが大切です。
③については、本件では当該企業は迅速に事実確認をして、メディア取材にてその背景を答えたことによって、炎上は収束しました。

調査結果詳細

抽出したデータは表1の基準に基づき分類しました。
また、問題行動の主体が「法人等」の場合、表2に基づき20の業界に分類しました。なお、表2に該当しない業界に関してはその他としてデータを処理しました。(表1)

(表1)

*参考:山口真一.(2015).ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」
*データ確認日時点でフォロワー数(もしくはチャンネル登録、読者登録)が一定数を超えている場合を著名人として定義しています。

(表2)

*参考:業界動向SEARCH.COM  https://gyokai-search.com/2nd-genre.htm

【炎上事案発生件数】

11月の炎上事案は206件でした。前月に比べ、32件増加しています。
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」76件(36.9 %)、「法人等」63件(30.6%)、「一般人」67件(32.5%)という結果でした。

また前年同月比では、炎上事案発生件数は84件増加し、「著名人」では23件、「法人等」では20件、「一般人」では41件増加しています。

前月と比較し、11月は「著名人」が1.8ポイント、「一般人」が0.9ポイント、炎上事案発生率の増加がみられています。
対して「法人等」については2.8ポイント減少しています。

前年同月比では、「著名人」の割合が7ポイント、「法人等」が5ポイント減少しています。
一方、「一般人」については11ポイントの増加がみられています。

【問題行動の内容別件数】

炎上の原因となった問題行動のうち、190件(92.2%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為。」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為。」は16件(7.8%)と少数でした。

炎上の原因となった問題行動の内容としては「2-4」(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)に該当する炎上が最も多く、次いで「2-3」(非常識な発言・行為、デリカシーのない内容・発言・行為)に該当する炎上が多い結果となりました。

【炎上内容の詳細区分】

炎上内容の詳細を分析したところ、「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が52件、次いで「問題発言」に関する炎上事案が51件でした。

【業界別にみる炎上事案の特徴】

問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上63件を業界ごとに分類しました。炎上事案が多かったのは「娯楽・レジャー」業界で27件(42.9%)でした。次いで「メディア」業界が11件(17.5%)という結果でした。

【上場企業の割合】

問題行動の主体について上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。
上場区分に関して「上場企業」7社(15.6%)、「非上場企業」38社(84.4%)という結果でした。

また前年同月比では、上場企業の割合が5.3ポイント増加しています。

また従業員数でみると、「1,000人以上」の大企業が16件であり、国内企業における炎上の38.1%を占めました。

前年同月比では、1,000人以上の従業員数の企業の割合が20.5ポイント減少し、100人未満の従業員数の企業の割合が15.6ポイント増加しています。

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シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 概要

名称:シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所
主宰:シエンプレ株式会社
所長:佐々木 寿郎
アドバイザー:村上憲郎(元Google本社副社長及び日本法人代表)
芳賀雅彦(元博報堂・PR戦略局シニアコンサルタント)
山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
徳力基彦(note株式会社 プロデューサー/ブロガー)
設立日:2020年1月10日
公式HP:https://dcri-digitalcrisis.com/

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