2019.12.20
デジタル・クライシスに発展!コンビニの「24時間営業問題」から企業は何を学ぶべきか
2020年2月28日
「土用の丑の日」と聞いて、何を連想しますか?
やはり、「鰻(うなぎ)」を思い浮かべる人が多いことでしょう。
しかし、なぜ土用の丑の日に鰻を食べるのか、その理由までご存知の方は案外少ないかもしれません。
諸説あるうち最も有名なのが、江戸時代中期に活躍した平賀源内が広めたという説です。
蒸し暑い夏場になると客足が遠のくことを憂いていた鰻屋の主人。源内に相談を持ち掛けたところ、「本日丑の日」と書いた紙を店の前に貼り出すよう薦められたとか。
思惑通り、この鰻屋は大繁盛。他店もこぞって真似るようになったことから、土用の丑の日に鰻の蒲焼きを食べる風習が定着したと言われています。
ちなみに、源内は1774年に出版された自著「里のをだまき評」で「土用の丑の日に鰻を食べると滋養になる」と記しています。
さて、当時の源内と言えば学者や発明家としてだけでなく、俳人、画家などとしても才能を発揮したマルチな人物。「江戸で知らない人はいない」と評されたほどの人物でした。
現代風に言えば、源内はまさにインフルエンサーだったのです。
つまり、「土用の丑の日」と「鰻」が見事に結び付いたのは、有名人によるキャンペーンが奏功したからとも言えるでしょう。
しかし元を正せば、このキャンペーンは鰻屋の売上アップのための宣伝が目的だったはず。
消費者に宣伝と気付かれないように宣伝行為をしたという意味で、源内の巧みな計らいはステルス・マーケティング(ステマ)に当てはまるという見方もあります。
目次
もちろん、その頃の社会にはステマという概念など存在しなかったでしょう。
しかし、昨今のWEB上でマーケティング活動を展開する際は、消費者にそもそもステマの疑いを持たれないよう、細心の注意を払うべきでしょう。
最も重要となるのが、外部パートナーなどを起用してWEB広告を多面展開する際のクリエイティブ・リスク対策です。リスク対策に欠けたマーケティング活動でステマ疑惑を招いてしまえば、SNSなどで思わぬ「炎上」を引き起こしかねません。
もし、企業が「炎上」に見舞われれば、どうなるでしょうか?
ブランドイメージの毀損はもちろん、業績や株価などへのダメージも予想されます。
これから紹介するのは、ステマ疑惑が引き金となって「炎上」した企業の実例です。
「炎上」の背景、要因を探りながら、必要な備えを考察していきましょう。
「炎上」の発端となったのは、2019年12月3日のTwitter投稿でした。
午後7時頃にアップされたツイートには、世界的にヒットした米アニメーション映画「A」の続編となる新作を鑑賞した感想が、漫画形式で書き込まれていました。
作品を絶賛する記述には、取り立てて騒がれるような文言は見当たりませんでした。しかし、投稿には奇妙な点があったのです。
それは「A」を絶賛する漫画形式の投稿が、ほぼ同時に7人のクリエイター(漫画家)から発信されたことでした。
時刻も内容も、まるで示し合わせたかのように投稿された7人のツイート。
一般アカウントからは「これは体験談ではなく、映画会社が主導した漫画形式の『広告』ではないのか?」とステマを疑う指摘が持ち上がり、瞬く間にSNS上での「炎上」が起こりました。
不自然なまでに足並みが揃っていたにも関わらず、7人の投稿にはいずれも、書き込んだ内容が広告であることを示す「PR」「広告」などの記載はありませんでした。
こうしてステマ疑惑が広がった12月4日、漫画家たちはそれぞれ謝罪のコメントをTwitter上に投稿します。
ところが、これが「二次炎上」を引き起こす要因になってしまいました。
それは、7人の謝罪文がまたしても似通っていたということ。どれも「試写会に招待されたのでPRで描いた」という釈明がつづられ、「一斉に似たような謝罪をしている」と再び批判を浴びたのです。
ステマ疑惑を糾弾する声は収束するどころか、映画の国内マーケティング活動に関与していながら沈黙を続ける大手広告会社にも矛先が向けられました。
「炎上」が続く状況を受け、映画製作会社の日本法人も謝罪を余儀なくされます。
12月5日、公式サイトに掲載された謝罪文の内容は「PRの表記は記載する予定だったものの、コミュニケーションの齟齬により抜け落ちてしまった」というものでした。
日本法人はTwitter投稿がステマであったことを否定しましたが、一般アカウントには「映画製作会社の本国ではステマが違法である」と指摘する書き込みも出現しました。
追い打ちをかけるように、12月4日から12月8日にかけて新聞やテレビ、インターネットのニュースサイトでも「炎上」騒ぎが相次いで取り上げられました。
※自社調べ
その後、ようやく批判は収まったかに見えましたが、日本法人が他の作品をめぐってもステマを疑われる同様の行為があったと認めたことから、「炎上」の勢いは再び強まることになってしまいました。
※自社調べ
しかし、ここまでの経緯を知ると、ある疑問も浮かんできます。日本法人が認めたように、漫画を使った宣伝手法はもともと一般的に用いられていました。
SNS上で「♯PR」などの広告表現を明記せずに作品を宣伝するケースも見受けられましたが、こうした漫画PRを批判する投稿は存在しなかったのです。
ではなぜ、今回の漫画PRがやり玉に挙げられたのでしょうか?
遡ること2カ月ほど前。大きな話題になったのが、人気漫才コンビが関わったステマ騒動でした。
コンビは関西のある自治体から報酬を得ながら「PR」「広告」などの表記を明示せず、この自治体の施策などをプロモーションする内容のツイートを繰り返していたことで批判されました。
さらに、漫才コンビの事案と前後しては、「血液クレンジング」と称される療法を推奨する複数の著名人のツイートも宣伝の意図を隠していることが疑われるなど、ステマに対する注目度と厳しさが強まっていたのです。
同様の傾向は、「バイトテロ」をめぐる現象にも見受けられます。
2019年2月、大手回転寿司チェーンのバイトスタッフによる不適切行為の動画が拡散した後、WEB上ではバイトテロを糾弾する動きが活発化。
それまで注目されていなかった不適切行為が次々にピックアップされ、「炎上」に発展するケースが確認されました。
①過去に成功していた広告手法をそのまま踏襲した。
②ユーザーの興味・関心の変化を見抜けず、ステマの危険性に注目しなかった。
③世の中の炎上事例に精通し、トレンドを押さえたチェックを実施する必要があった。
広報・プロモーション活動を通じてステマを疑われないようにするためには、専門知識に基づいたクリエイティブ・リスクのチェックが欠かせません。
シエンプレでは毎日収集した「炎上」事例をデータ化して保存、さまざまな企画・制作物を「炎上」データベースと照合し、アナリストが「ステマ」などを含む70以上の項目でリスク診断を実施します。
ちなみに、今回の漫画PRを評価したところ、リスクは「高」という結果が出ました。
このように、「炎上」の火種や予兆を総合的に調査・診断する体制を構築していれば、漫画PRのような事態は防げたに違いありません。
デジタル・クライシス対策に関するご相談は、予防・監視から対策まで一貫してお任せいただける弊社に、ぜひお寄せください。
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