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炎上事案分析データ2022年10月版(調査対象期間:2022年10月1日~2022年10月31日)

2022年12月1日

炎上事案分析データ2022年10月版(調査対象期間:2022年10月1日~2022年10月31日)

ネット炎上や情報漏えいなどのデジタル上で発生したクライシス(危機や重大なトラブル)を研究する、日本初の研究機関シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所(以下、弊研究所)は、2022年10月1日~10月31日に発生したネット炎上について件数とその内訳の分析結果を公開しました。

調査背景

2022年1月12日、弊研究所はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2022」(調査対象期間:2021年1月1日~12月31日)を公開しました。今回の調査は「デジタル・クライシス白書2022」の内容を補足するものです。

投稿内容に「炎上」というキーワードを含む1,862件の投稿から174件の炎上事案を抽出(※)。炎上の原因となった問題行動の主体、問題行動の内容、炎上を起こした企業の業種などの切り口から傾向を分析しました。

※弊研究所では「炎上」の定義を、「企業や団体、個人が発言した内容、行った行為がメディア上で掲載・拡散され、それに言及した批判や非難の投稿が100件を超えた場合」としています。

「デジタル・クライシス白書2022」をダウンロード

調査

調査期間:2022年10月1日~10月31日
調査対象:Twitter、Facebook、Yahoo!ニュース、Amebaブログ、FC2ブログ、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる など、SNS媒体と炎上拡大の要因となりやすい弊社選定媒体への投稿
調査方法:弊社ソーシャルリスニングツールを使用
分析対象投稿数:1,862件
抽出炎上事例数:174件

調査結果トピックス

10月の炎上事案は174件でした。前月に比べ、15件減少しています。
・炎上事案の主体において、「法人等」の割合が高い前月に比べ、各項目がほぼ均等な割合になっています。
・炎上の原因は「不適切と判断される可能性のある発言・行為」が152件(87.4%)と大部分を占め、「法律に抵触する可能性のある行為等」は22件(12.6%)でした。前月とほぼ同じ割合で推移しています。
・炎上事案が多かった業界は「娯楽・レジャー」業界でした。「娯楽・レジャー」業界は前月に比べ、5件増加しています。
・炎上の対象において、YouTuberを始めとした動画配信者の炎上が25件(14.4%)でした。企画の内容や不適切な発言が切り取られ、炎上したケースがみられます。
・炎上事案が発生した国内企業42社のうち、31社が非上場企業でした。前月と同水準で推移しています。

分析コメント/シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 研究員 安部巧

2022年10月度の炎上発生件数は174件(前月比:92.1% 前年同月比:122.5%)でした。
前年同月と比較しますと、「その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為」に分類される内容が37件増加しております。内容としては、YouTubeならびにテレビ番組のコンテンツや企画に対する批判、SNS等での発言内容に対するものが目立っており、年々世間のデジタルコンテンツに対する監視の目が厳しくなっている傾向が見受けられます。
炎上の主体についてみると、法人の炎上事案が58件(期間内の炎上件数の33.3%)と、前月より5.3ポイント減少しています。法人の中で特に多かったのは「娯楽・レジャー」業界で24件(41.4%)、次いで「メディア」業界で14件(24.1%)でした。
「娯楽・レジャー」に分類された炎上事案の内容としては、サービスや商品に関連する過失・欠陥に対するクレームや批判などが目立っています。その中でも、サービスに対する不満が記載された口コミに対して、経営者が攻撃的な内容を含む不適切な返信対応を行った事象が確認されています。
当事象が発生してしまった原因は、口コミに対する返信のルールが当該企業の中で明確に定められていなかったためであると考えられます。顧客に対して不誠実な対応を取ってしまったため、サービスの利用や商品の購入の選択肢から外されてしまったり、ネガティブな印象を拡散されてしまったりすることは避けられません。既存顧客の離反や本来は発生しなかった損失を生む可能性があります。
しかし、ネガティブな口コミがされたケースにおいては、誠実な対応を行うことでブランドイメージの回復を図ることが可能です。そのため、企業は口コミに対して適切な返信を行うためのルール整備を行い、顧客に誠実に向き合うことが重要です。
また、炎上の要因となる問題行動の内容をみますと、分類2-4(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)に該当する事案が79件と、10月の炎上事案の45.4%を占めており、前年同月比で15.8ポイント増加しています。
分類2-4に含まれる炎上の主体は「著名人」の割合が多く、YouTuberや芸能人の生配信、TV番組中での発言、SNSへの投稿などが不適切な内容であることを理由に批判を受けているケースが多数ありました。特にリアルタイムで発信するコンテンツにて問題が発生しているケースが多く、該当するコンテンツの発信を行う際には、発言の訂正が難しい点を踏まえ注意したうえで発信を行うことが必要と言えるでしょう。

調査結果詳細

抽出したデータは表1の基準に基づき分類しました。
また、問題行動の主体が「法人等」の場合、表2に基づき20の業界に分類しました。なお、表2に該当しない業界に関してはその他としてデータを処理しました。

(表1)

*参考:山口真一.(2015).ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」
*データ確認日時点でフォロワー数(もしくはチャンネル登録、読者登録)が一定数を超えている場合を著名人として定義しています。

(表2)

参考:業界動向SEARCH.COM https://gyokai-search.com/2nd-genre.htm

【炎上事案発生件数】

10月の炎上事案発生件数は174件でした。前月に比べ、15件減少しています。
炎上事案の原因となった問題行動の主体別の内訳では、「著名人」61件(35.1 %)、「法人等」58件(33.3%)、「一般人」55件(31.6%)という結果でした。

また前年同月比では、炎上事案発生件数は32件増加し、「法人等」では17件、「一般人」では18件増加しています。

前月と比較し、10月は「著名人」の炎上事案発生率が4.9ポイント増加しています。

また前年同月比では、「著名人」の割合が10.0ポイント減少しています。

【問題行動の内容別件数】

炎上の原因となった問題行動のうち、152件(87.4%)が「不適切と判断される可能性のある発言・行為。」に該当し、「反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)。法律に抵触する可能性のある行為。」は22件(12.6%)と少数でした。

炎上の原因となった問題行動の内容としては「2-4」(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)に該当する炎上が最も多く、次いで「2-3」(非常識な発言・行為、デリカシーのない内容・発言・行為)に該当する炎上が多い結果となりました。

【炎上内容の詳細区分】

炎上内容の詳細を分析したところ、「問題発言」に関する炎上事案が45件、次いで「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が36件でした。

【業界別にみる炎上事案の特徴】

問題行動の主体のうち、「法人等」に該当する炎上58件を業界ごとに分類しました。炎上事案が多かったのは「娯楽・レジャー」業界で24件(41.4%)でした。次いで「メディア」業界が14件(24.1%)という結果でした。

【上場企業の割合】

問題行動の主体が「法人等」に該当する58件のうち、42件は国内企業でした。
(16件は自治体や社団法人、海外企業等。)
これらの国内企業が上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について分析しました。
上場区分に関して「上場企業」11社(26.2%)、「非上場企業」31社(73.8%)という結果でした。

また前年同月比では、上場企業の割合が16.5ポイント増加しています。

また従業員数でみると、「1,000人以上」の大企業が14件であり、国内企業における炎上の34.1%を占めました。

前年同月比では、1,000人以上の従業員数の企業の割合が14.3ポイント減少し、100人未満の従業員数の企業の割合が22.8ポイント増加しています。

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シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 概要

名称:シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所
主宰:シエンプレ株式会社
所長:佐々木 寿郎
アドバイザー:村上憲郎(元Google本社副社長及び日本法人代表)
芳賀雅彦(元博報堂・PR戦略局シニアコンサルタント)
山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
徳力基彦(note株式会社 プロデューサー/ブロガー)
設立日:2020年1月10日
公式HP:https://dcri-digitalcrisis.com/

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