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炎上事例/デジタル・クライシス事例レポート

「バズりたい」が引き起こす弊害!なぜ人気企業SNSの“中の人”は暴走してしまうのか?

2020年12月29日

「バズりたい」が引き起こす弊害!なぜ人気企業SNSの“中の人”は暴走してしまうのか?

1992年、あるユニークな書籍が日本中の話題を集めました。国民的人気を誇るアニメーション作品を題材にしたこの本。続編や類似本も数多く生み出し、その後に巻き起こった、いわゆる「謎本ブーム」の火付け役にもなったほどでした。

その本のタイトルは「磯野家の謎 サザエさんに隠された69の驚き」。通算200万部を超えるベストセラーで、タイトルばかりではなく内容を覚えている人も多いかもしれません。

さて、ここに書かれていたのは、漫画の作品解説などではありません。サザエさんをはじめ磯野家一家の生い立ちや暮らしぶり、性格、趣味、果ては住まいの所在地や間取り、収入など、ありとあらゆる角度から分析した「個人情報」でした。

漫画の世界にしか存在しない一家を、さも実在するかのように見立て、プライバシーにまつわる「謎」を暴いてみせた切り口は新鮮でした。当時の読者の多くの反応も、「東京サザエさん研究会」なる著者グループの考察力への感服、賞賛だったように思われます。

日本において個人情報保護法が成立したのは、この本の出版から10年以上経過した2003年のこと。しかし、2005年に全面施行された後も「磯野家のプライバシーを侵害している」と本の内容を問題視するような主張は聞かれませんでした。

そもそも、磯野家が架空の存在だと知らない人は、まずいないはずです。この本が売れた理由は、漫画の登場人物たちにリアルな個人情報を付した意外性、インパクトが話題を集めたということでしょう。

「おじさんにも優しくしてくれる」…「性犯罪を連想」と批判

もしかすると、これから紹介する大手玩具メーカーA社のTwitter投稿も、この本と同様の効果を狙ったのかもしれません。
しかし、A社の事例はまるで正反対の反応、すなわち「炎上」を招いてしまいました。

その事例とは、A社の看板とも言える商品で、サザエさんに負けずとも劣らない国民的な人気を誇る少女のキャラクター人形をめぐるものでした。

当時、Twitter上でトレンド入りしていたのは「#個人情報を勝手に暴露します」というハッシュタグでした。
A社はこれに便乗し、キャラクター人形の声を電話で聞けるサービスを告知したのです。

A社のTwitter公式アカウントに、このハッシュタグをつけたツイートが投稿されたのは、2020年10月21日のことでした。
そこにあったのは「とある筋から入手した、某小学5年生の女の子の個人情報を暴露しちゃいますね…!」という物騒なコメントと、少女人形の誕生日や身長、体重、声が聞けるサービスの電話番号、公式のプロフィール画像でした。さらに、「こんなおじさんにも優しくしてくれる」というツイートまで添えられていました。

これに対するTwitterユーザーの反応は「性犯罪を想起させる投稿で怖い」「自社商品を性的コンテンツ化して媚びる」といった手厳しいものでした。
批判が殺到して「炎上」した公式アカウントには「軽いジョーク」と、投稿に理解を示す意見も寄せられましたが、A社は最初の投稿から3日後に「表現に至らぬ点がございました」と謝罪する事態に追い込まれます。

ところが、謝罪文の公表は「炎上」を鎮火させるどころか、火に油を注いでしまう結果となりました。
悪いことに、A社は「パンツの日」の8月2日、この少女人形の下着セット画像を貼りつけたツイートを投稿して「炎上」していたのです。
多くのユーザーは、そのときの反省が生かされなかったことを見逃しませんでした。

止まぬ「炎上」、他社の〝古傷〟もやり玉に

さらに、謝罪から10日後の11月3日には、Twitter上で思わぬ動きが表面化します。

怒りが収まらないユーザーが矛先を向けたのは、A社と同様の理由で「炎上」に見舞われたことがある複数の大手企業でした。

Twitter上では「女性蔑視」「セクハラ」「性犯罪を想起させる」として批判を浴びたCMなど過去のプロモーション活動の「炎上」事例が突如、拡散される事態に。これらは数年も前の出来事でしたが、A社の「炎上」をきっかけに、再びやり玉に挙がったというわけです。

ジェンダーに関する「炎上」がなかなか収束しない状況を見ると、こうした倫理的なテーマに関する世の中の目は、ますます厳しさを増していると言えます。

企業がプロモーション活動を通して何らかのメッセージを発信する場合は、世の中にどう受け止められるか十分に注意する必要があるでしょう。

玩具メーカーということもあり、A社の公式アカウント担当者は日々、面白い発信で「バズらせる」効果を狙おうとしていたのかもしれません。

ただ、A社の株主総会では、公式アカウントの発信内容が行き過ぎたものにならないよう、運用体制の厳格化を求める意見が以前から上がっていたのも事実です。経営側も適切な対応を約束していましたが、結果的には不適切な投稿による「炎上」を招いてしまいました。

SNSユーザーの受けを狙うあまり、多くの消費者に不快感を与えてしまえば元も子もないというのは、誰もが理解していることでしょう。それでも、企業SNSの「炎上」は後を絶たないのが実情です。クリエイティブリスクをマネジメントするのは、それほど難しいことだと言えます。

なぜ人気SNSの“中の人”は暴走してしまうのでしょうか?その理由のひとつが、「クライアントファースト」ではなく、「フォロワーファースト」になってしまう点だと思います。

“中の人”の仕事は、SNS運用を通して企業プロモーションをすることです。自分の投稿でどれだけ多くのフォロワーを増やせるか、自分の投稿で多くのフォロワーを喜ばせられるか?を試行錯誤しなければなりません。それらを考えるあまり、目の前のフォロワーを喜ばすことに夢中になり、結果「フォロワーファースト」になり「クライアントファースト」ではなくなってしまうのです。

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最先端の「炎上ストッパー」が強力サポート

自社のプロモーション活動の表現やテーマが世の中に受け入れられるか、クリエイティブリスクの有無や度合いについて正確な判断を下すのは容易ではありません。社内の限られた担当者だけでチェックするとなれば、なおさらです。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴うニューノーマルが浸透しつつある昨今は、過去の経験則がそのまま通用するとは限りません。実績豊富な大手広告代理店に依頼して制作したCMであっても、視聴者の批判を浴びて「炎上」しないとは限らないのです。

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シエンプレは動画や画像、新商品・新サービスのリリース文などについて、顧客企業と調査対象や使用可否基準(精査基準)をすり合わせた上でリスク調査を実施します。
万が一、企業SNSなどの投稿が「炎上」した場合も、有人、あるいはシステムによる24時間監視で事態をいち早く感知。事実関係が記載された検証サイトやブランディングにつながるサイトを作成して上位表示させることなども可能です。

国内唯一のデジタル・クライシス対策カンパニーとして「炎上ストッパー」の豊富な実績を誇るシエンプレなら、リスクチェック機能を強力にサポートします。
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