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コラム・レポート

「お母さん」に潜むジェンダー炎上!今なぜクリエイティブリスク診断が必要なのか?

2021年2月26日

「お母さん」に潜むジェンダー炎上!今なぜクリエイティブリスク診断が必要なのか?

2014年8月に公開された映画「STAND BY ME ドラえもん」。80億円を超える国内興行収入を記録した本作は、歴代のドラえもん映画史上で最大のヒット作となりました。

2020年11月、その続編として公開されたのが「STAND BY ME ドラえもん2」です。

のび太としずかの結婚式を描いた最新作は前作同様、「大人も泣けるドラえもん」として話題となり、コロナ禍の中でも好調な観客動員数を記録しました。

しかし、この続編が取り沙汰されたのは、映画そのものだけではありませんでした。

発端となったのは、公開初日に全国紙に掲載された広告。そこに書かれていたのは、しずかがのび太に送ったメッセージでした。

「私はあなたのその優しさが大好きです」
「あなたとなら、間違いなく世界で一番しあわせになれるから」

大人になった2人の間のメッセージに、胸を打たれた人も多かったことでしょう。ところがTwitter上では、この広告のたった5文字の記述が物議を醸すことになります。

「野比しずか」

メッセージの最後に記されたこの名前に、「選択的夫婦別姓が叫ばれている時代にそぐわない」との批判が浴びせられたのです。

この批判が的を射ているかどうかは、さまざまな見解があるでしょう。
しかし、婚姻時に妻が夫の姓を名乗るという、従来の社会では当たり前だった慣習に批判が巻き起こったという事実は、世の中におけるジェンダー問題への関心が高まっていることを証明する形になりました。

商品改名を求めて署名運動、Twitterで大論争に

ジェンダー・ギャップに対する問題提起が活発化する中、企業活動がやり玉に挙げられるケースも目立っています。

その1つが、2017年にコンビニ大手A社が発売した総菜・冷凍食品の商品名「お母さん食堂」です。

商品のコンセプトは「一番身近で美味しくて安心できる食堂」。日本では素朴で家庭的な料理を「おふくろの味」などと言い表すことから、A社も商品のコンセプトに「お母さん」という言葉のイメージを重ねたと想像できます。

しかし、2020年末、この名称に真っ向から異を唱える動きが表面化しました。

兵庫県、京都府、岡山県の女子高生3人が「食事を作るのはお母さんだけですか?」と真っ向から異を唱え、「『お母さん食堂』の名称を変えたい」とオンラインで署名活動を始めたのです。

「食事を作るのはお母さんだけですか?」という問いに対する正しい答えは、もちろん「ノー」でしょう。しかし、「改名要求」をめぐってTwitter上で巻き起こったのは、賛否両論が渦巻く大論争でした。

2020年12月25日から12月31日まで、1週間に及んだ署名運動に賛同したのは7,576人でした。
一方、シエンプレが運営するデジタル・クライシス総合研究所の調査によると、本件に関するTwitter投稿数(2020年12月24日~2021年1月5日)は、6万5,454件に上りました。

さて、自社の商品名が大きな論争の的となったA社。その後、どのような対応をしたのでしょうか。

ジェンダー・バイアスをめぐる企業姿勢に一石

A社にとっては幸いなことに、Twitterに寄せられた全体の投稿数のうち、約8割の5万1601件は「改名しなくてよい」(署名反対派)という意見でした。

署名運動の開始から3日後の12月28日、A社広報部はネットメディアの取材に「さまざまな意見を聞きながら方向性を決定するが、現時点では未定」と回答しています。

「さまざまな意見を聞きながら」という回答は、事の成り行きを慎重に見極めようとの思惑を感じさせるものでしたが、署名に反対する意見も尊重し、拙速な対応を避けた判断は正解だったと言えるでしょう。

事実、反対意見が急増したのは、年が明けてテレビなどのマスメディアで署名運動のニュースが取り上げられてからのこと。「言葉狩り」「過敏すぎる」などの主張が強まり、A社も「お母さん食堂」の商品名を変更していません。

とは言え、企業としては一連の出来事を単なる「暴論」としてやり過ごしてしまうべきではないでしょう。

署名反対派の中には「『お母さん食堂』に違和感はあるが、民間企業がコストをかけて商品回収をする必要はない」という意見も少なくありませんでした。
署名運動の是非が大きな論争に発展したことを考えると、ジェンダー問題に向き合う企業の姿勢に一石を投じたのは確かです。

近年、広告やCMで描かれた男性像や女性像が「ジェンダー・バイアス(男女の役割の固定的な決めつけ)だ」との批判を受け、企業のブランドイメージが傷つく事象、いわゆる「ジェンダー炎上」が後を絶ちません。

世界中でジェンダー・フリーが叫ばれ、性別による格差を解消しようという動きが広がる中、日本でもこうした問題に反応し、SNSなどで即座に意思表明する人が増えています。
新商品などのネーミングや広告、CMを企画する際は、「性別に基づく役割の決めつけがないか」というジェンダー視点を持つことが欠かせないのです。

意図せぬ「ジェンダー炎上」を防ぐために、企業は何をするべきでしょうか。

ジェンダーに関する考え方は人それぞれであることから、性別・年齢の枠を超えて「それはおかしいのではないか」と違和感を表明し合える組織を社内に設けることが有効でしょう。「社内で多様な文化をつくること」こそが、炎上防止の正攻法なのです。

職場内のダイバーシティ(多様性)をすぐに実現することが難しい場合は、社外の「第三者の意見」を取り入れる手もあります。

クリエイティブリスク診断で炎上は防げる

冷静沈着で頼もしい「第三者の意見」は、どうすれば得られるのか。シエンプレが提供する心強いサービスが、クリエイティブリスク診断です。

これから展開しようとするクリエイティブやプロモーションの炎上リスクを多角的にチェックするサービスで、使用する表現やテーマが世間に受け入れられるか、弊社が保有する炎上事例データベースや直近の世論に基づいて見極めます。

もちろん、クリエイティブリスク診断のチェック項目は、ジェンダー問題にとどまりません。

各種ハラスメントや犯罪・不正、社会問題など多様な視点でリスクを察知するほか、広告などへの起用を考えているタレントのSNSや個人名の検索結果なども巡回し、将来的な炎上リスクまで予測します。

国内唯一のデジタル・クライシス対策カンパニーであるシエンプレは頼れる「炎上ストッパー役」として、広報・マーケティング担当者の負担も軽減します。企業のSNS炎上対策の強化をお考えの際は、豊富なノウハウと実績を誇る弊社にぜひ、ご相談ください。

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