デジタルリスク最前線:2025年後半、引き続き企業が注力すべき炎上対策と変わらぬ警戒の必要性

SNSの普及は、企業にとって顧客との接点を増やし、ブランドを強化する大きな機会をもたらしました。しかしその一方で、インターネット上での「炎上」というデジタルリスクも常に隣り合わせに存在します。企業や団体、個人が発信した内容や一般ユーザーへの対応などに対し、SNSやインターネット上で批判や非難が殺到する「炎上」は、ブランドイメージや業績に深刻なダメージを及ぼしかねない重要な経営課題となっています。企業の悪評がSNSやネット上で拡散すれば、売上や採用活動、さらには金融機関との関係性にも影響を及ぼす可能性があります。
SNS上の意見や情報は常に変化しており、予期せぬデジタル・クライシスに巻き込まれる可能性は依然として存在します。企業炎上の多くは、社内の不正・不祥事、役員や従業員による不適切な言動、商品・サービスの不備や顧客対応の不手際が要因です。公式SNSからの発信やクリエイティブの内容に、性別や人種、宗教などの差別・偏見、あるいは配慮不足と捉えられる要素が混じっているケースも批判を招くことがあります。 2025年下半期にさらに、企業は現状の炎上リスク対策を見直し、同時に引き続き警戒すべきポイントを認識しておくことが重要です。
2025年下半期に見直すべき炎上リスク対策
デジタル環境の進化に伴い、炎上リスクの様相も変化しています。企業は以下の点について、対策の見直しと強化が求められます。
新たなSNSプラットフォームへの対応
これまでの炎上はXが主な舞台でしたが、ここ数年は新たなプラットフォームが続々と登場し、ユーザー数を伸ばしています。2025年に入り、Threads上での炎上事案が散見されるようになっています。ThreadsはXに比べて拡散機能が限定的ではあるものの、スクリーンショットを通じてXに投稿が持ち出され、大きな炎上につながる可能性があります。また、BeReal.もZ世代を中心に人気を集める新たなSNSとして注目されており、企業はXだけでなく、Threadsを含む多様なSNSプラットフォームを包括的にモニタリングする体制を強化する必要があります。
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siemple.co.jpAI生成コンテンツのリスク管理
生成AIの活用が広がる一方で、著作権侵害、「不気味の谷」現象による不快感、クリエイターの仕事を奪うといった批判が根強く存在します。企業がAI生成コンテンツを利用する際は、透明性を持ってAIの使用を明記するとともに、倫理的な問題や法的なリスクを十分に検討し、ガイドラインを策定することが不可欠です。例えば、コンビニ大手で販売停止となったAI使用のイラスト商品や、大手ファストフードチェーンのAIコラボ動画が賛否を分けた事例があります。AIで作成したコンテンツはノーチェックで公開しないこと、そして謝罪対応も問題があれば逆効果となることへの注意が必要です。
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siemple.co.jp過去のコンテンツの再評価と棚卸し
数年前に公開されたコンテンツが、現在の社会通念に照らして問題視され、突如炎上する事例が増加しています。例えば、人材サービス大手の新卒採用統括責任者のインタビュー記事が数年後に再炎上した事例や、ホームセンターの従業員が商品を投げて陳列する過去の動画が拡散した事例などがあります。企業は過去に発信したSNS投稿や発表物を定期的に棚卸しし、最新の法令や社会規範に合致しているかを確認する体制を構築する必要があります。問題行為を確認した場合はすぐに対処し、その記録を残すことで、過去のコンテンツが炎上したとしても「既に対処済みです」と広報できるでしょう。
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siemple.co.jp「非実在型炎上」への理解と対応
少数の批判意見がネットメディアによって「炎上した!」と誇張されて報じられる「非実在型炎上」が昨今問題氏されています。メディアが記事や広告の閲覧数を稼ぐ目的で、実際には炎上していない事象について、あたかも炎上しているかのように見せかけた記事を作成して公開することがあります。このようなケースでは、過剰な反応が実際に炎上を招く可能性があるため、影響範囲を冷静に評価し、事実に基づいた情報開示を行うなど、慎重な対応が求められます。
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siemple.co.jp経営層・役員のSNS活用と発言の管理
企業のトップや役員の発言が、一部だけ切り取られたり、意図せず誤解を招いたりして炎上するケースが後を絶ちません。人員削減に関する社長発言 や、電動キックボードのサービス利用者に関する社長発言、移民受け入れに関する会長発言 などが批判を浴びました。メディア取材や公式発言に際しては、事前に想定されるQ&Aを詳細に準備し、バズワードやパワーワードの使用を避けるなど、慎重な言葉選びが求められます。経営層の個人的な発言が企業の公式見解と誤解されないよう、必要に応じて迅速に打ち消しのリリースを出す準備も重要です。個人のSNSアカウントであっても、所属する企業の見解と捉えられればブランドイメージの低下を招きかねません。
危機管理体制構築支援サービス | シエンプレ株式会社
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siemple.co.jp引き続き注意しなければいけない炎上リスク対策
SNSを取り巻く環境が変化しても、依然として企業にとって大きなリスクとなる問題行動が多数存在します。継続的な警戒と対策が必要です。
従業員・アルバイトによる不適切行為(バイトテロ・客テロ)
「バイトテロ」は、アルバイトなどの従業員が職場で不適切な行為を働き、その様子を撮影した動画・画像をSNSや動画共有サイトに投稿して炎上することです。2023年以降、「客テロ」と呼ばれる利用客による迷惑行為が相次ぎ、回転寿司チェーンなどで大きな話題となりました。2024年下半期も、コンビニでの不衛生な行為 や、ホームセンターでの不適切な商品陳列動画 などが拡散されています。これに対し、企業は警察への通報や法的措置を検討するなど、厳正な対応を示す姿勢を示すことが、世間からの信頼を得る上で重要視される傾向にあります。また、従業員に対しては、SNS利用ガイドラインの策定や定期的なソーシャルメディアリテラシー研修を実施し、不適切な行動を防ぐための意識向上を促すことが不可欠です。不適切な行為を投稿した人が企業から多額の損害賠償を請求されるなど社会的な制裁を受けた事例もあります。
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https://www.siemple.co.jp/isiten/不適切な発言・表現
「特定の層を不快にさせる発言・行為」は炎上の原因の最多を占めています。法令や社会規範に反する行為ではないものの、他者を不快にさせる問題行動や問題発言、差別、偏見、SNS運用関連などがあります。ジェンダーに関する表現(例:男女差別、人種差別、地域差別)は特にセンシティブであり、企業CM、 広告表現,、エイプリルフールのネタ など、意図せずとも批判を招く可能性があります。例えば、ブライダル情報サービス誌のCMモデルに17歳女性が起用されたこと や、大手焼き肉チェーンの女性半額キャンペーンが「男性差別」と物議を醸した事例があります。発信内容やクリエイティブは、必ず複数人によるチェック体制を導入し、多様な視点から潜在的なリスクを洗い出すことが重要です。政治やジェンダー、宗教などに関する話題や、批判的な表現など、センシティブな話題は避ける方が良いでしょう。
ジェンダー広告の炎上事例!企業の方策を紹介
https://www.siemple.co.jp/isiten/「そのままでいくと落とすよ」 採用担当者の発信は、なぜ炎上しやすいのか?
著者:前薗 利大 就活面接の
https://www.siemple.co.jp/isiten/情報漏えい
企業における個人情報漏洩事故は増加傾向にあり、特に「従業員による不適切なSNS投稿」が後を絶ちません。有名実業家らの予約情報を従業員がSNSに投稿した事例や、病院職員による患者に関する不適切投稿などがあります。SNSを介して企業の機密情報や未公開情報が漏洩すれば、企業の信頼性や株価に悪影響を及ぼす可能性もあります。個人情報保護法の徹底に加え、従業員への継続的なリテラシー教育が必須です。個人が特定されるリスクもあるため、何気ない投稿でも慎重にチェックすることが大切です。
インスタの乗っ取りとは?被害を防ぐ備えと発生時の対処法
SNSを駆使したマーケティング手法は、今や多
https://www.siemple.co.jp/isiten/個人情報漏えいへの対策は?従業員へのリテラシー教育の重要性を解説
企業における個人情報漏えい事故は増加傾向にあ
https://www.siemple.co.jp/isiten/異物混入・製品/サービス品質問題
飲食物を取り扱う企業にとって、異物混入リスクをゼロにすることは困難です。ラーメン店でのウジ虫混入 や、チョコ菓子への虫混入(事実誤認) など、SNS上で拡散されやすい事案です。消費者からの連絡には速やかに対応し、事実関係を迅速かつ正確に公表することが、騒動の鎮静化には不可欠です。対応の遅れは不買運動につながる可能性もあります。事実誤認の投稿主にも配慮を見せることで、ファンからの称賛を得てブランドイメージを向上させた好事例も存在します。
飲食店は「異物混入」からどう身を守るか?来来亭の事例から学ぶ予防策と迅速な危機管理対応
大手ラーメン店チェーン「来来亭の浜松幸店」では、ラーメンへの異物混入事象が発生し、臨時休業に至りました。
https://www.siemple.co.jp/isiten/飲食店の炎上はなぜ多い?未然に学ぶ炎上パターンを解説
SNSなどのインターネット上で、特定の事象に対する批判が集中・拡散する「炎上」。どんな企業も巻き込まれるリスクがあ
https://www.siemple.co.jp/isiten/チョコ菓子の異物混入騒動に学ぶ。事実誤認の投稿主に配慮し、ファンを魅了したメーカーの神対応
企業がSNS炎上に巻き込まれた場合、早期に収
https://www.siemple.co.jp/isiten/転売問題
買い占めや、高額転売 など、転売ヤーによる問題はブランドイメージの毀損や顧客ロイヤルティの低下、売上逸失など深刻な影響をもたらします。企業は、整理券配布、購入数制限、外箱へのマーク付与、開封販売、購入履歴確認、不正検知システムの導入など、多角的な対策を講じる必要があります。
非公開: 直近の転売問題から学ぶ:企業に求められる対策の重要性とその具体策
近年、特定の人気商品を買い占め、本来の価格よりも高額で転売する「転売ヤー」が企業や消費者を悩ませています。転売行為
https://www.siemple.co.jp/isiten/まとめ:継続的な危機管理と誠実な企業姿勢
2025年下半期においても、企業はSNS炎上リスクに対する継続的な警戒と対策強化が不可欠です。炎上の件数自体は変動するものの、その影響は大きく、デジタル環境の変化に伴い新たなリスクも顕在化しています。
24時間365日のウェブ・SNSモニタリング体制の構築や、従業員一人ひとりのSNSリテラシー向上に向けた教育研修の実施 は、炎上予防の基本となります。また、企業としてのSNS利用に関する「指針・目的・ルール」などを定めた「ソーシャルメディア(SNS)ガイドライン」や、炎上発生時の対応フローなどを定めた「炎上対応マニュアル」などのリスク管理文書を整備することも有効です。
万一、炎上が発生した際には、事実関係の迅速な調査、真摯な謝罪、具体的な再発防止策の提示が被害を最小限に抑える鍵となります。謝罪する際は、「不快に感じた人がいたかもしれないが、それは受け止め方の問題」といった「謝罪風の自己弁護」を避け、何が問題だったのかを明確にし、誠実に対応することが求められます。また、過剰な批判やデマに対しては、毅然とした態度で反論し、必要に応じて法的措置を講じることも、現代の企業に求められる対応です。事後対応の巧拙が企業の明暗を分ける可能性もあります。
世間の論調は常に変化しており、「過去のこと」が蒸し返されるリスクも存在します。企業がデジタル社会で信頼を維持し、成長を続けるためには、変化するリスクに柔軟に対応することが不可欠です。すべてのステークホルダーに対して誠実かつ透明性のある姿勢を貫くことが、何よりも重要となるでしょう。
シエンプレが選ばれる理由 | シエンプレ株式会社
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