飲食店は、なぜ炎上しやすいのか?その理由と対策を説明
- 公開日:2025.02.21

はじめに
SNSなどのインターネット上で、特定の事象に対する批判が集中・拡散する「炎上」。どんな企業も巻き込まれるリスクがありますが、とりわけ標的になりやすい業種の1つが飲食店でしょう。今回の記事では、飲食店が炎上しやすい理由と主な炎上パターンに加え、被害の防止・抑制に効果的な対策を解説します。
飲食店が炎上しやすい理由
飲食店は、日常的に不特定多数の人が出入りしています。提供された飲食物の状態や味、接客対応、さらには店内環境・設備などから受ける印象の良し悪しは人それぞれです。そのため、さまざまなレベルの評価が入り交じることとなります。
料理には異物混入や食中毒のリスクもあることから、飲食店にはクレーム対応が付き物とさえいわれています。そうした中でも、SNSの普及で商品やサービスへのクレームを他者と共有しやすくなったことが、炎上を招きやすくしている要因になっているといえるでしょう。
異物混入や食中毒が発生した場合は、利用客の生命を脅かすことにもなりかねません。そのため、消費者は飲食店の製造物責任に敏感で、そのような過ちに対しては猛烈な批判を浴びせて責任を追及する傾向が見られます。
飲食店の主な炎上パターン
飲食店の主な炎上パターンは、以下の通りです。
●異物混入
SNS上で物議を醸すケースが多いのは、「こんなものが料理に入っていた」という異物混入の事案です。中には、「このような店があることを世間に知らしめよう」という正義感からSNSに投稿する人もおり、情報が拡散されれば炎上に至る可能性が高まります。
大手居酒屋チェーン「魚民」の店舗では、もつ鍋の中に大量の小さな虫が混入している写真がSNSにアップされ、店側に批判が殺到しました。
投稿では、対応した店員が、もつ鍋の写真を撮られないよう厨房に下げたことが明らかにされました。また、店員は「店長に確認します」と言い残したまま20分ほど戻ってこなかったということも暴露されています。その結果、料理の衛生管理以上に、お粗末な事後対応への批判が巻き起こりました。
●接客トラブル
店員のミスや接客態度への不満をSNSに投稿する人も、枚挙にいとまがありません。自分に対してではなく、他の来店客への対応の悪さを目にしたことを告発する投稿も見受けられます。
また、クレーム対応に納得できなかった利用客が、店側とのやりとりの一部始終をSNSに書き込んでしまう可能性もあるでしょう。
SNSのみで発信されたクレームの場合は、店側が実態を把握することは難しくなります。そのため、店舗の関係者が全く知らないうちに悪評が広がり、「気付いたときには手をつけられないほど炎上していた」ということも考えられるのです。
●バイトテロ
飲食店のアルバイト従業員などが、勤務先の食材や什器などの設備を使い不衛生な悪ふざけをするバイトテロも、炎上の原因となります。
例えば2024年は、しゃぶしゃぶ食べ放題チェーン「しゃぶ葉」の店内キッチンで、アルバイト従業員が羽交い締めにされてホイップクリームを口内に直接流し込まれる動画がSNSで炎上しました。
こういった事象が発生した飲食店は、社会的な信用やブランドイメージが損なわれかねません。「不衛生な店」というレッテルを貼られて集客・売上が低迷し、そのまま閉店に追い込まれたケースも存在します。
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https://www.siemple.co.jp/isiten/●客テロ
近年は、利用客による迷惑行為、いわゆる「客テロ」も発生しています。大手回転寿司チェーン「スシロー」の店舗で、客席に置かれたしょうゆボトルの注ぎ口や、回転レーン上にある湯飲みをなめるなどの悪質な行為が全国各地で発覚し、炎上したことを覚えている人も多いのではないでしょうか?
比較的規模の大きい飲食店では、利用客一人ひとりにまで目が行き届かないこともありますが、飲食店にとって衛生面の管理は「生命線」です。そのため、客テロが発生すれば、バイトテロと同様に大きなダメージを受けることになります。
飲食店の炎上を防ぐには
飲食店には、さまざまな理由で炎上するリスクがあります。炎上には至らなくても、火種になりそうな投稿を単なる不満や悪ふざけと判断して放置すると、一転してバッシングを浴びてしまう事態にもなりかねません。
飲食店にとって、利用客からのクレームをゼロにするのは難しいのが実情です。だからこそ、致命的な炎上を防ぐためには万一の事態に備えた対策を講じておかなければなりません。
SNSは拡散スピードが速く、注目を集めた投稿はネットメディアがすぐさま記事化する傾向があります。テレビの情報番組などのマスメディアが取り上げたことで、SNSを利用していない層にまで認知が広がってしまうパターンも存在します。
炎上を防ぐには、ネガティブな投稿を早期に発見し、必要な対応をとることが欠かせません。拡散され始めてから対応するのでは遅いのです。
炎上防止に役立つWeb/SNSモニタリング
炎上の火種となる投稿を早い段階で発見できれば、具体的な対処方法を練り、実行するまでの時間を多く確保できます。一方、投稿が拡散して炎上してしまってからでは、早期に収束させるのは困難です。
リスクの早期発見に有効な対策として挙げられるのは、自社に関する書き込みなどを随時チェックするWeb/SNSモニタリングです。
モニタリングは、自社の従業員が行えば費用を抑えることができます。ただし、SNSの検索に慣れている従業員がいない、あるいは深夜・休日のモニタリング体制を取れるほどの人員がいないという場合は、チェックの抜け漏れが起こりやすくなります。
そのような状況であれば、ネット上やSNS上のコンテンツを自動的に監視・収集するツールを活用することもできますが、ツールを使いこなすにも一定の知識とノウハウが必要です。くわえて、投稿の収集量や収集期間などの違いもあるため、自社のニーズに適したツールを選ばなければなりません。
こうした課題を一挙に解決できる方法が、「デジタル・クライシス(危機)専門会社への委託」です。もちろん、一定の費用はかかりますが、自分たちで監視する手間を省ける上、リスク発生の状況判断や有事の対応について的確なアドバイスを受けることができます。
炎上してしまった場合の対応
SNSなどで炎上した場合、一刻も早く沈静化を図ろうとするのは、飲食店に限ったことではないでしょう。しかし、初動対応を誤れば、さらなる反感を買い、新たな炎上に発展する可能性が高まってしまいます。
炎上した飲食店に消費者が求めるのは、公式見解の説明と謝罪です。説明責任を放棄すると、最初の炎上で高まった「不適切だ」との指摘に「不誠実だ」という批判が重なります。
また、適切なタイミングで原因や再発防止策を表明し、謝罪をしたとしても、「法的には問題ない」「自社だけの責任ではない」などという言い逃れをしてはなりません。もちろん、事実と異なる噂や誤解は明確に否定するべきですが、「反省せずに開き直っている」という印象を持たれないよう注意する必要があります。
一方、バイトテロや客テロの当事者に対しては、「毅然と対処すべきだ」という世論が高まっています。そのため、しっかりとした再発防止策を立てた上で、行為の内容によっては法的措置をとることなども検討する必要があるでしょう。
飲食店の炎上まとめ
炎上時の初動対応を意識していたとしても、自社が炎上していることに気付かなければ、手遅れになってしまいます。そのような状況を防ぐには、SNSを含めたネット上の動きをモニタリングすることが大切です。
適切な対応策を準備するためには、常に最新の炎上トレンドを把握し、ネットユーザーや消費者が、どのような接客やクレーム対応にネガティブな反応を表すのかも認知しておく必要があります。
ただし、これらのリスクマネジメント体制は、自社だけですべて構築・運用しなければならないわけではありません。信頼できる専門会社のサービスを活用すれば、トータルのデジタル・クライシス(危機)対策を整えることができますので、ぜひ検討してみてください。
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