2011.09.11
【調査】 ネット上の評判が企業間取引に与える影響
2016年6月3日
今回は海外の炎上事例について経緯を含めて紹介したいと思います。
目次
ロンドンに本社を置くネスレ、こちらは食品・飲料系の企業で日本ではキットカットが有名でしょうか。経緯は2010年の3月、国際環境NGOグリーンピースの抗議から始まりました。3月17日にロンドンのネスレ本社前でグリーンピースがオランウータンのコスチュームを着て抗議を開始します。
これだけでは伝わらないと思いますが、同日ネスレの商品である「キットカット」を食べている動画をグリーンピースがyoutubeにアップします。しかし、このキットカットはよく見るとキットカットではなく、「オランウータンの指」でした。これはネスレが製品に「パームオイル」を使用しており、それを採取するために、インドネシアの熱帯雨林を破壊し、結果としてオランウータンが危機に瀕していることに対しての抗議でした。動画自体はショッキングな映像ですので、注意してください。
一連の流れにより、ネスレのFacebookファンページが炎上。これに影響を受けユーザーがネスレを非難するようなアイコンに変えるなど社会現象となりました。これに対してネスレ側は「皆さんには言論の自由はあります。しかし、私達が決めたルールがあります。
他の多くのフォーラム同様に」という形で、削除も厭わない強気の姿勢を見せました。
それがまた、ユーザーを刺激しさらに炎上することとなりました。
こちらはデンマークの知名度を上げるためにデンマーク観光局がアップロードした動画によって起きた問題です。2009年9月、動画は9ヶ月の女の子の赤ちゃんAugustを抱えた母親karenが父親を捜して欲しいと訴える動画となっており、4日で100万回以上視聴され、母親を心配するコメントで溢れていました。しかし、このビデオは数日後にVisit Denmarkの要請により削除されました。なぜ、一般人の投稿がこの企業により削除要請できたのか、実はこの動画はVisit Denmarkがキャンペーンの一環でアップロードしたものだったのです。
これはデンマーク国内で強い批判を浴びました。「嘘の広告」で人々の気持ちを弄んだように見受けられたからです。
計画では、世界中に広がり認知度を高めるつもりが、逆に辞任を引き起こすまでにマイナスの効果を起こすことになりました。
いくら認知度を高めるためでも、人々の良心に漬け込むような内容は受け入れられない事例です。
2009年4月アメリカのドミノ・ピザの従業員が起こした問題です。
ドミノ・ピザの従業員2人がふざけて鼻の穴にトッピングを入れてそれを商品に載せる様子をアップロードしたもの(既に削除済)で、これを観たユーザーから大批判を浴びます。
この動画はソーシャルメディアなどを通してすぐに広まり、「Dominos」の検索結果1ページ目に登場するまでになりました。
これを観たユーザーからは「もう二度とドミノ・ピザで頼まない」など痛烈な批判を浴びました。
ドミノ・ピザ側が動いたのは動画公開から48時間後、CEO自らが動画でメッセージを伝えました。
しかし、その初動の遅さにより、炎上を止めることができませんでした。
結果として事件を起こした社員は解雇、その後法的措置をとると説明しました。
前の2つの事例と違い、このドミノ・ピザに関しては、その後の対応により炎上を抑えることに成功しております。
事件発覚後、ドミノ・ピザはアポロジービデオ(謝罪ビデオ)と呼ばれるソーシャルビデオで経営者が直接謝罪しました。
普段、ソーシャルビデオはマーケティング等ポジティブな内容で使うことが多い中でこのような謝罪に使用したのは前代未聞でした。
しかしこの効果は絶大で、ビデオを見る前にドミノ・ピザに行くと答えた層は10%にまで落ちこんでいましたが、ビデオを見た後は20%と2倍の効果をもたらしました。
それまで(従業員が炎上動画を投稿する前)が29%のため、以前の水準とまでは言えませんが、このビデオにより下げ止まりが出来たと言えるでしょう。
事例1の炎上理由は、抗議の動画にユーザーが共感し、それに対しての企業側の対応が不十分だったため。事例2の炎上理由は、人々の良心に漬け込んだ動画をアップロードしてしまったため。事例3の炎上理由は、従業員の管理が出来ておらず、初動が遅かったため。
いずれもまったく違うようで共通点があります。それは「企業側の対応の不備があった」という点です。何か起きないのがもちろん一番良いですが、何かが起きた時に適切な対応が取れるか否かが炎上と鎮火の分かれ目となります。事例3のドミノ・ピザのように小火で抑えるために初期の消火活動が重要ということがわかる事例です。
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