風評被害対策のシエンプレ株式会社 TOP > iの視点 > 炎上を予防するには > 退職者の情報漏洩を防ぐには?企業の予防策と危機対応を解説

退職者の情報漏洩を防ぐには?企業の予防策と危機対応を解説

退職者の情報漏洩を防ぐには?企業の予防策と危機対応を解説

現代社会において、情報は企業にとって「ヒト・モノ・カネ」と並ぶ、極めて重要な経営資源です。しかし、終身雇用制度が過去のものとなり、人材の流動化が進む中で、退職者による機密情報や個人情報の漏洩リスクが顕著に増加しています。スマートフォンやクラウドサービスの普及は、情報の持ち出しを以前にも増して容易にしました。このような見えない脅威は、企業のブランドイメージを損ない、売上や事業の存続にまで深刻な影響を及ぼす可能性があります。

本記事では、退職者による情報漏洩がなぜ発生するのか、企業にどのような影響を与えるのかを深く掘り下げます。さらに、漏洩を未然に防ぐための強力な予防策と、万が一事態が発生した場合の迅速かつ誠実な危機対応について、多角的な視点から解説します。

なぜ退職者による情報漏洩は発生するのか?多角的な背景

退職者による情報漏洩は、意図的か否かを問わず、様々な要因で発生し得ます。その背景を理解することは、効果的な対策を講じる上で不可欠です。

●競業目的の持ち出し(「手土産転職」)
一部の退職者は、同業他社への転職や独立を計画する際、現職で得た技術情報、ノウハウ、顧客リストといった機密情報を不正に持ち出そうとします。これは「手土産転職」とも呼ばれ、企業に深刻な競争上のダメージを与える可能性があります。このような行為は、露見しないよう秘密裏に、そして巧妙に行われることが多いのが特徴です。

Webリスクマネジメントとは?効果的な対策まで紹介

インターネットは今や、あらゆるビジネスを展開する上で欠かせないツールです。しかし、SNS炎上や情報漏洩、不正アクセ

https://www.siemple.co.jp/isiten/

●会社への不満や報復感情
退職の経緯や、在職中の待遇に不満を抱いていた従業員が、会社に対する報復感情から、悪口や誹謗中傷をSNSなどに投稿するケースがあります。この際、意図せずして社内の機密情報や個人情報が漏洩してしまうこともあり、企業は予期せぬ形で批判を受けるリスクがあります。

自分の会社の評判が悪い!?蓄積され続ける転職掲示板の口コミと企業に必要な対策とは

採用活動において、求職者の多くが企業の口コミを参考にします。中には、現状と乖離した古い情報や、退職者の個人的なネガティブ...

https://www.siemple.co.jp/isiten/

●情報管理に対する認識の低さや不注意
デジタルネイティブ世代の若者にとって、SNSでの情報発信は日常の一部ですが、その中には、社内情報や顧客情報が意図せず含まれてしまうリスクが潜んでいます。個人アカウントや裏アカウントの投稿であっても、勤務先が特定されれば、企業全体が炎上に巻き込まれる事態に発展しかねません。また、社内外の情報管理体制が不十分な場合、従業員自身が「機密情報」と認識しないまま情報を持ち出してしまう不注意なケースも発生します。

別垢とは?企業が使う場合のメリットや注意点も解説

XやInstagramなどのSNSでは、いわ

https://www.siemple.co.jp/isiten/

従業員の不適切投稿から考察するSNSリスクと企業の備え

従業員がSNSなどに不適切な投稿を行って炎上した場合、雇用先の企業にも悪影響が及ぶ可能性があります。誤ったSNS利用を防...

https://www.siemple.co.jp/isiten/

●安易な情報共有と拡散
同僚との飲み会での会話や、公共交通機関の中での立ち話など、何気ない日常の場面で機密情報が漏洩するリスクも存在します。さらに、SNSで「公開範囲を制限しているから大丈夫」と考えていたとしても、その情報を閲覧できるメンバーが意図せず外部に拡散してしまう可能性も否定できません。

個人情報漏えいへの対策は?従業員へのリテラシー教育の重要性を解説

企業における個人情報漏えい事故は増加傾向にあ

https://www.siemple.co.jp/isiten/

情報漏洩が企業に与える壊滅的な影響:その代償

退職者による情報漏洩は、企業活動のあらゆる側面に多岐にわたる深刻なダメージを与えます。その影響は、短期的な損失に留まらず、長期的なブランド価値の毀損につながることもあります。

●ブランドイメージ・評判の低下
人はポジティブな情報よりもネガティブな情報に強く反応する心理(ネガティビティ・バイアス)があると言われています。そのため、一度ネット上に漏洩した不利益な情報は、企業の公式発表よりも速く、かつ広範囲に拡散され、信頼を瞬時に失墜させる強力な破壊力を持ちます。

ネット風評被害の実態と対策とは?インターネット時代の企業の危機管理

現代社会において、インターネットとSNSは企業にとって不可欠なビジネスツールです。しかし、同時に企業やブランドに甚

https://www.siemple.co.jp/isiten/

●売上・顧客数の減少、不買運動
消費者の企業に対する不信感は、直接的に売上の減少につながります。情報漏洩の内容によっては、大規模な不買運動に発展することもあり、企業の収益に壊滅的な打撃を与える可能性を秘めています。特に食品メーカーなどの異物混入事案では、消費者の不安が広がり、売上が急減する事例が多数見られます。

赤いきつねの炎上はなぜ起こった?騒動まとめ

https://www.siemple.co.jp/isiten/

●採用活動への悪影響・人材流出
企業のネガティブな評判は、求職者がその企業への応募を躊躇する大きな要因となります。検索エンジンで企業名を検索した際に、ネガティブな情報が表示されれば、優秀な人材の獲得は困難になるでしょう。また、既存の従業員の士気が低下し、「こんな評判の悪い会社では働きたくない」という思いから、優秀な人材が離職してしまうリスクも高まります。

口コミによる風評被害とは?誹謗中傷の対策や解決方法を紹介

ネット掲示板や

https://www.siemple.co.jp/isiten/

~転職口コミサイトと内定者フォローの重要性~ | シエンプレ株式会社

siemple.co.jp

●取引先からの信頼喪失・金融機関の審査への影響
コンプライアンスを重視する大手企業や金融機関は、取引先の評判を重要な指標の一つとして評価します。情報漏洩が発生すれば、「リスク管理ができていない会社」と見なされ、取引の中止や新たな融資の見直しを招く可能性があります。これは、サプライチェーン全体に悪影響を及ぼし、企業の事業継続を困難にする恐れがあります。

フジテレビのスポンサー対応から考察する企業の炎上リスクマネジメント

元タレント・中居正広氏の女性トラブルに端を発したフジテレビ問題は、顕著なスポンサー離れを招きました。一方、CM放映をいち...

https://www.siemple.co.jp/isiten/

風評被害の事例5選!企業が把握すべき対策も解説

近年、SNSやネット掲示板の普及に

https://www.siemple.co.jp/isiten/

●法的措置・行政処分、損害賠償
情報漏洩は、民事上の損害賠償責任を発生させるだけでなく、不正競争防止法、不正アクセス禁止法、個人情報保護法などに基づいて刑事罰の対象となることもあります。企業自身も「使用者責任」を問われ、漏洩した情報の内容や被害規模によっては、多額の損害賠償責任を負う可能性があります。

●業務負荷の増大・二次炎上リスク
情報漏洩が発生すると、苦情対応、謝罪文の作成、原因究明、再発防止策の策定など、通常の業務に加えて膨大な時間と労力がかかります。また、初動対応やその後の情報発信を誤ると、さらに批判を招き「二次炎上」を引き起こすリスクがあり、事態の収束がより困難になります。

VOC(Voice of Customer)とは?顧客の声が企業成長の原動力となる戦略的活用術

現代のビジネス環境において、企業成長の鍵を握るのは、顧客の心に深く響く製品やサービスの提供です。そして、その実現に

https://www.siemple.co.jp/isiten/

サイレントクレーマーの脅威とは?放置できない理由と効果的な対策

今日のデジタル社会において、企業の情報発信や

https://www.siemple.co.jp/isiten/

●デジタルタトゥー化
一度インターネット上に公開された情報は、たとえ元投稿が削除されたとしても、スクリーンショットやアーカイブによって半永久的に残り続ける可能性があります。この「デジタルタトゥー」と呼ばれる現象は、情報漏洩が沈静化した後でも、長期にわたって企業の評判や個人のキャリアに悪影響を及ぼし続けます。

SNSの光と影:気づかぬうちに刻まれる「デジタルタトゥー」から身を守るために

SNSの普及と見えざるリスク <

https://www.siemple.co.jp/isiten/

デジタルタトゥーとは?悲惨な事例から防ぐ方法を解説

SNSなどに不適切な文言や動画・画像を投稿したことが原因で、その後の人生にも悪影響を及ぼしてしまう「

https://www.siemple.co.jp/isiten/

情報漏洩を未然に防ぐための強力な予防策

「そもそも情報漏洩を発生させない」という予防策は、企業の持続的な成長と信頼構築の基盤となります。多角的な視点から、徹底した対策を講じることが重要です。

●社内規定・ガイドラインの整備

●従業員教育の徹底と意識改革

●情報アクセス管理とセキュリティ強化

  • 機密情報へのアクセス制限
    顧客情報や企業秘密など重要情報へのアクセス権限を厳格に管理し、必要最小限の従業員にのみ付与します。特に、退職予定者に対しては、速やかにアクセス権を制限する措置を講じます。
  • ログの取得と保存
    社内ネットワーク、システムへのアクセス履歴や操作ログを詳細に記録・保存します。これにより、誰がいつどのデータにアクセスし、どのような操作を行ったかを追跡可能にし、異常なアクセスパターンを自動的に検知できる体制を整えます。
  • 物理的セキュリティ
    機密情報が保管されているサーバー室や書庫などへの入退室記録を徹底し、必要に応じて防犯カメラを設置するなど、物理的なセキュリティを強化します。
  • セキュリティツールの導入
    マルウェア対策プログラム、不正アクセス防止システム、EDR(Endpoint Detection and Response)*1 など、多層的なセキュリティ対策を講じ、最新の脅威に対応します。クラウドサービスを利用する場合は、適切な設定と脆弱性対策も不可欠です。
    *1 EDR:PCやスマートフォン、サーバーなど「エンドポイント」と呼ばれる端末上で発生する不審な挙動を常時監視するセキュリティーソリューション。
  • ソーシャル時代の危機管理とコミュニケーション戦略 | シエンプレ株式会社

    siemple.co.jp

●企業文化の改善

情報漏洩が発覚した場合の迅速かつ誠実な危機対応

万が一、情報漏洩が発生してしまった場合、初動対応のスピードと誠実さが被害を最小限に抑える鍵となります。冷静かつ的確な対応は、企業の信頼回復につながる可能性も秘めています。

●事実関係の徹底的な調査と原因究明
情報漏洩の発生源、内容、影響範囲を正確かつ迅速に特定することが最優先です。どの情報が、いつ、どこから、どのように漏洩したのかを詳細に調査します。

  • フォレンジック調査*2 の活用
    電子機器のデータは削除や改ざんが容易であるため、法的証拠として認められるデータ保全には、専門家によるフォレンジック調査が不可欠です。これにより、データ持ち出しの証拠を確保し、原因究明を客観的に進めます。
    *2 フォレンジック調査:主にコンピューターやネットワーク上で発生した不正行為やセキュリティ事故を対象に、データを収集・解析し、事実を科学的に立証するための調査手法。

●社内外への迅速な情報共有と統一見解
炎上している情報を早期に社内全体で共有し、全従業員が統一した見解を持つようにします。また、取引先や関係各所に対しても、正確な情報を迅速かつ透明性をもって伝えることで、不要な憶測や不安の拡大を防ぎます。

●真摯な謝罪と透明性のある情報開示

  • 誠意のない謝罪
    「不快に感じた方がいらっしゃいましたらお詫び申し上げます」といった、相手の感情に責任を転嫁するような表現は、誠意が伝わらず、批判をさらに拡大させる原因となります。具体的な不適切な行為に対して真摯に謝罪し、企業としての責任を明確にします。

    謝罪になっていない謝罪「ご不快構文」の何が問題なのか? | シエンプレ株式会社

    siemple.co.jp

  • 問題投稿の削除と理由の明示
    SNS上の不適切な投稿を削除する際は、「隠蔽」と受け取られないよう、削除理由と今後の対応方針をセットで発信する透明性が求められます。

    もしも炎上してしまったら?ダメージを最小化するための対策法 | シエンプレ株式会社

    siemple.co.jp

  • 具体的な再発防止策の発表
    事実関係、謝罪、そして具体的な再発防止策を迅速に公表することが、信頼回復への第一歩となります。この際、再発防止策は実行可能なものであり、その進捗についても継続的に情報開示を行うことが重要です。

    内部告発を端に発する炎上事例~発生の要因と企業が取るべき対策とは~ | シエンプレ株式会社

    siemple.co.jp

  • ●法的措置の検討と実行
    悪質な誹謗中傷やデマ、不正な情報持ち出しに対しては、毅然とした法的対応を検討します。

    • 投稿削除請求・発信者情報開示請求
      プラットフォームへの削除依頼や、裁判所を通じた発信者情報開示請求を行い、投稿者の身元特定を目指します。
    • 損害賠償請求・刑事告訴
      企業に実害が発生している場合は、退職者に対する損害賠償請求や刑事告訴も視野に入れます。これらの措置は、再発防止や今後の抑止力として重要です。
    • 弁護士との連携
      法的手続きは専門知識を要するため、ネット上のトラブル解決に強い弁護士に速やかに相談し、連携して対応を進めることで、迅速かつ適切な解決を図ります。
    • ブランドイメージ回復のための「攻め」のPR戦略

      守りの対応だけでなく、「攻め」のPR戦略も重要です。

      ●積極的な情報発信
      炎上によって低下したブランドイメージを回復するため、企業の強み、社会貢献活動、新商品・サービスの情報を積極的に発信します。再発防止策の進捗を公表することも、誠実な姿勢として効果的です。

      炎上を防止しながらSNSを盛り上げるには?~企業アカウントの効果的運用法~ | シエンプレ株式会社

      siemple.co.jp

      逆SEO対策・サジェスト汚染対策
      検索結果にネガティブな情報が上位表示されるのを防ぐため、逆SEO対策やサジェスト汚染対策を実施し、正しい情報やポジティブな情報が優先的に表示されるよう努めます。これは専門的な知識と技術を要するため、専門業者との連携が有効です。

      ●口コミ回答サイトの活用
      Googleマップなどの口コミサイトに対し、企業が真摯に回答する専門サイトを活用することで、見込み客や顧客からの信頼感を醸成し、企業イメージを向上させることができます。

      炎上の火種はGoogleの口コミの中にも? モニタリングとオーナー返信の重要性 | シエンプレ株式会社

      siemple.co.jp

      外部専門家との連携が危機管理を強化する

      現代のデジタルリスクは多様化・複雑化しており、自社のみで全ての対策を講じることは極めて困難です。そのため、外部の専門会社との連携が、効果的な危機管理体制を構築する上で不可欠となります。

      SNS監視・モニタリングサービス
      24時間365日体制でネット上の口コミやSNS投稿を監視し、情報漏洩や炎上の火種、予兆を早期に発見し、企業に通知するサービスです。これにより、被害の予防・軽減が可能となります。Googleマップの口コミなどもリサーチ対象となります。

      Web/ SNS深層モニタリングサービス紹介資料 | シエンプレ株式会社

      siemple.co.jp

      ダークウェブ調査
      情報漏洩が疑われる場合、専門家がダークウェブ上で自社の機密情報や顧客情報が実際に流通していないかを調査します。これは、サイバー犯罪の温床となっているダークウェブの特性を理解した専門知識が必要です。

      ダークウェブ調査サービス紹介資料 | シエンプレ株式会社

      siemple.co.jp

      危機対応支援サービス
      炎上発生時のメディア対応、プレスリリース作成、記者会見のセッティング・運営、緊急コールセンターの立ち上げなど、事後対応を一貫してサポートするサービスです。専門家による的確な判断と迅速な行動が、事態の早期収束につながります。

      ●弁護士
      法的手続き、特に情報開示請求や損害賠償請求、刑事告訴などは専門的な法律知識を要します。ネットトラブルに強い弁護士との連携は、適切な法的対応を迅速に進める上で不可欠です。

      siemple.co.jp

      まとめ:継続的な対策と信頼構築が企業の未来を拓く

      退職者による情報漏洩は、現代企業が直面する経営リスクの一つです。このリスクは、企業のブランドイメージを大きく毀損し、売上、採用活動、さらには事業の存続にまで深刻な影響を及ぼす可能性があります。

      企業は、従業員一人ひとりの意識改革、社内ルールの徹底、強固な情報セキュリティ対策といった予防策を平時から講じる必要があります。加えて、万が一の事態が発生した際には、迅速かつ誠実な事実確認、透明性のある情報開示、そして具体的な再発防止策の実行が求められます。

      また、現代の複雑なデジタルリスクに対応するためには、SNS監視、ダークウェブ調査、危機対応支援といった外部専門家との連携を強化することが不可欠です。継続的な対策と、ステークホルダーとの信頼関係構築を通じて、デジタル時代の荒波を乗り越え、企業の持続的な成長とブランド価値の確保を実現していくことが求められます。

      最新記事の更新情報や、リスクマネジメントに役立つ
      各種情報が定期的にほしい方はこちら

      記事一覧へもどる