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災害時における企業のSNS運用とは?企業が「不謹慎」の落とし穴を避け、信用を維持・向上させるための方法

災害時における企業のSNS運用とは?企業が「不謹慎」の落とし穴を避け、信用を維持・向上させるための方法

SNSは、現代社会において企業の情報発信や顧客とのコミュニケーションに不可欠なツールです。しかし、災害や社会を揺るがす重大な事象が発生した際、その運用には細心の注意を要します。不適切なSNS運用は、企業のブランドイメージを著しく損ない、顧客離れや業績悪化、さらには採用活動への悪影響など、深刻な「炎上」というデジタルリスクとなり得るからです。近年よく耳にする「不謹慎狩り」は、企業が予期せぬ批判に晒される可能性を秘めた現象です。これは、デジタルリスクの典型的な例と言えるでしょう。

本稿では、災害時における企業SNSの役割、潜むリスク、そして「不謹慎狩り」を回避しつつ企業の信頼を維持・向上させるための具体的な運用ルールと対策について考察します。

災害時におけるSNSの二面性:チャンスとリスク

災害時において、SNSは迅速な情報伝達手段として極めて有用です。救助が必要な場所や状況のリアルタイムな把握を可能にし、家族間の安否確認の手段ともなります。企業にとっても、自社の製品やサービスが災害支援に役立つ情報を提供したり、顧客の安全を呼びかけたりするなど、社会貢献の姿勢を示す機会にもなり得ます。

しかし、その一方で、SNSは災害時に特有のデジタルリスクを増幅させる側面も持っています。

1. 「不謹慎狩り」のリスクとメカニズム

『不謹慎狩り』とは、災害発生時などに普段通りの投稿を行った企業や著名人が、『被災者への配慮がない』として世間から厳しい批判を受ける現象です。この問題は、特に感情的になりやすい災害時において、企業のSNS運用担当者が直面する『デジタル・クライシス』の典型例と言えます。

2. 虚偽情報・デマの拡散

災害時は、SNS上で虚偽情報やデマが爆発的に拡散しやすい状況にあります。例えば、能登半島地震では「人工地震」や「窃盗団出現」といったデマ、偽の寄付を募る投稿などが確認されました。こうした偽情報は、救助活動を妨げ、被災者に不安を与え、貴重なリソースを無駄に消費させる危険性があります。インプレッション(閲覧数)に応じて投稿者に収益が還元されるSNSの仕組みが背景にあることも、話題の出来事に便乗して過激な内容を投稿し、「炎上の商業化」を加速させる一因です。

3. 情報過多による混乱

災害時には、SNS上に膨大な情報が流れ込み、本当に必要な情報を見つけ出すことが困難になる場合があります。情報の信頼性を検証することの難しさや、関連するハッシュタグが統一されていないことなども、混乱を招く要因となります。

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災害時の企業SNS運用ルールと対策

これらのリスクを最小限に抑え、企業の信頼を守るためには、平時からの周到な準備と、有事の際の迅速かつ誠実な対応が不可欠です。

1. 平時からの予防策

倫理基準の明確化と従業員教育の徹底
組織内で従うべき倫理観を明確にし、全従業員に周知徹底することが重要です。 SNS研修を通じて、炎上の具体的な事例や、それが個人および企業に与える悲惨な結末を「自分ごと」として理解させる教育が効果的です。解雇、損害賠償請求、個人情報の晒し上げ、刑事罰といった具体的な結末を伝えることで、従業員の意識改革を促します。
入社時に、1回だけの研修でなく、定期的な研修やモラルに関するワークショップを実施し、継続的な理解と改善を促すことが効果的です。

SNS運用マニュアルガイドラインの策定
企業は、公式アカウントの運用方法に加え、従業員のプライベートなSNS利用に関するルールも明確に定めるべきです。投稿を許容する内容と禁止する内容を明確にし、全従業員に周知徹底することが不可欠です。
投稿の文体や、写真・イラストの使い方なども定め、属人化を防ぎ、投稿内容のばらつきをなくします。
ジェンダー、思想、宗教、災害、政治、スキャンダルなど、炎上しやすい話題は避けるべきだとガイドラインに明記しましょう。
・不適切な投稿が発覚した場合の報告・相談先を明確に設定しておくことも重要です。
・公式アカウントの運用には、特定の端末のみで投稿するなど、物理的な対策を徹底し、誤投稿のリスクを最小限に抑えることが推奨されます。

危機管理マニュアルの策定・整備
炎上は突然発生するため、「時間との戦い」となります。緊急事態発生時に備え、事実確認、原因究明、世論分析、そして対応方針や情報開示のフロー、担当者と責任者を明確にした危機管理マニュアルを事前に策定・整備しておくことが極めて重要です。部門横断的な情報共有と連携体制の確立も不可欠です。

継続的なモニタリング
自社や関連するキーワード、業界の動向について、SNSやネットニュース、検索エンジンのサジェストなどを常時監視し、不適切な情報や炎上の兆候を早期に検知する体制を構築します。特に、休日や深夜の炎上は拡大しやすいため、24時間体制の監視が望ましいです。

2. 有事の際の対応

予約投稿の即時停止
災害発生を確認後、予約投稿や自動投稿を速やかに停止するルールを定めておきましょう。投稿停止が必要な災害レベル(例:震度5以上の地震、避難指示発令、死者・避難者が出ている報道など)を明確化しておくことが重要です。

緊急時の運用への切り替え
迅速な意思決定とリソースがあれば、災害時に必要な自社製品やサービスに関する情報発信、有益な情報の提供を行うなど、緊急時の運用に切り替えることも可能です。
そうでない場合は、事態の全貌が明らかになるまで、通常の運用を一旦停止することも選択肢です。

慎重な再開と被災者への配慮
世間が落ち着きを取り戻し、SNSを再開する際には、新商品やキャンペーン情報などの広報内容をいきなり投稿するのではなく、被災された方々へのお見舞いや支援のメッセージを優先することが重要です。
復旧直後であっても、被災して日常が送れない人々がいることを前提にメッセージを検討する必要があります。

3. 自社に関わる炎上が発生した際の対応

事実の正確な把握と情報共有
炎上し始めた際には、焦らず、まず原因となった火種を正確に把握し、事実関係を徹底的に調査することが不可欠です。事実が複雑で調査に時間がかかる場合でも、「調査中である」ことを速やかに公表する姿勢が信頼回復につながります。社内で炎上の事実、原因、世論を共有し、全社で統一した見解を持つようにしましょう。

真摯で透明性のある謝罪と説明
謝罪文は誠実さを込めて作成し、「ご不快構文」のような曖昧な表現や責任転嫁は避けるべきです。
何に対して謝罪しているのか、具体的な改善策や再発防止策を示すことが信頼回復につながります。謝罪文は、消費者や関係者の目につきやすい公式ウェブサイトのトップページやSNSに掲載するなど、情報開示に積極的な姿勢を示しましょう。
安易な投稿の削除は事実の隠蔽と捉えられ、炎上を加速させる可能性があるため、慎重に行う必要があります。やむを得ず削除・変更する場合は、その旨をホームページに掲載するなど、削除や変更を行った旨を明記することが推奨されます。

具体的な再発防止策の実施
適切な処分を行うとともに、明確な再発防止策を発表し、その進捗を公表することが信頼回復につながります。

法的措置の検討
法的措置を取る場合でも、その理由を明確にし、社会の理解を得られるよう努める必要があります。

中長期的な評判回復戦略
一度失われた企業の評判を回復するには長い時間が必要なため、事後対応だけでなく、中長期的な計画を立ててPR活動を行うことが大切です。ポジティブな情報発信も積極的に行い、企業の強みや社会貢献活動を伝えることも重要です。

4. 専門会社の活用

自社だけでこれらの対策をすべて完璧に行うのは困難な場合があります。

シエンプレでは、炎上、風評被害、誹謗中傷などあらゆる課題解決を支援します。ネット上の論調収集・分析、リスク診断、緊急コールセンター開設、記者会見セッティング・運営、プレスリリース執筆といった事後対応を手厚くサポートいたします。また、SNSリテラシー研修やガイドライン作成支援等も提供し、企業を多角的にサポートすることが可能です。

SNSの炎上トレンドは刻々と変化し、その要因も多様化・複雑化しています。そのため、デジタルリスク管理に特化した専門会社の知見やノウハウを活用することが非常に有効です。

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まとめ

SNSは、企業にとってビジネスチャンスを広げる強力なツールであると同時に、予期せぬデジタル・クライシス、特に災害時における「不謹慎狩り」といったリスクを常に伴います。炎上リスクをゼロにすることは不可能ですが、平時からの従業員教育、明確なガイドラインの策定、継続的なモニタリングなどを徹底することで、被害を最小限に抑え、企業の信頼性を守り抜くことが可能です。

現代のデジタル社会において、企業が持続的に成長し、顧客からの信頼を確保するためには、SNSリスクマネジメントを経営の重要課題として捉え、積極的に取り組む姿勢が不可欠です。

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