2025年入社の新入社員に伝えるべきSNSリスク
- 公開日:2025.05.02

デジタルネイティブ世代に当たる新入社員は、SNSの普及とともに育ったため、子どもの頃から、SNS上での情報発信に慣れ親しんできた人も少なくありません。しかしだからといって、SNSリスクを十分に心得ているとは限らないのです。
本記事では、企業が新入社員に伝えるべきSNSリスクや、効果的な教育方法について解説します。
2024年の炎上は約3割が「一般人」
シエンプレが運営するデジタル・クライシス総合研究所がまとめた「デジタル・クライシス白書2025」によると、2024年の炎上件数は1225件でした。
デジタル・クライシス白書2025 | シエンプレ株式会社 - 唯一のデジタル・クライシス&サイレントクレーム対策会社
siemple.co.jp月平均100件もの炎上が発生していることになりますが、原因となった問題行動の主体は、「一般人」が28.4%と約3割を占めます。一般企業にあたる「メディア以外の法人」の25.5%を上回っており、炎上は決して「著名人」や「企業」だけの問題ではないことを裏付ける結果と言えるでしょう。
SNSリスクが招く企業トラブル
SNS投稿の発信元が個人アカウントだったとしても、勤務先の企業が責任を問われることがあります。その結果、公式の謝罪にまで追い込まれるケースも見られます。
本人が「匿名だから大丈夫だろう」と油断し、思慮の浅い投稿を続けているうちに、勤務先などの身元を特定されてしまうことがないとは言えません。
●情報漏洩
新入社員は、外部に公開してはいけない個人情報や取引先情報などの重要性を理解していない可能性があります。守秘義務があることを知らないまま、承認欲求を満たすべく、特別な情報を知っていることを友人らにアピールした結果、重要な情報を流出させてしまうかもしれません。
情報漏洩が発覚した企業は、社員教育や情報管理の甘さを厳しく追及されるでしょう。新製品の開発情報などが流出した場合は、その後の業績に重大な損害を与えかねません。そうならないためにも、新入社員には、業務上知り得た情報をどう扱うべきか、念入りに伝えておく必要があります。
●内部告発
社会経験が乏しく、仕事に不慣れな新入社員は、自らの業務内容や職場の人間関係について悩みや不満を持ちやすいと考えられます。こうした理由から、「ブラック企業」や「ハラスメント」など、過激な表現を使った内容が投稿されることがあるかもしれません。
たとえば、2024年4月には、あるメーカーの新入社員とされる人物が、入社式の写真とともに配属部署や同僚への不満をSNSに投稿し、問題になりました。
投稿文に勤務先の記載がなかったとしても、さまざまな手がかりをたどって特定される可能性があります。投稿が拡散して「ひどい職場」というレッテルを貼られれば、企業のイメージダウンは避けられません。
●炎上の“飛び火”
社員が第三者への差別・誹謗中傷や、同業他社を貶める発言など非常識な投稿をした場合、たとえ個人的な発言であっても、「非常識な社員を雇っている会社」として勤務先の企業が非難を浴びるかもしれません。社員の発言が炎上すれば、企業に“飛び火”する危険性があるのです。
社員が一般の消費者になりすまして自社の商品やサービスを称賛することも、ステルスマーケティング(ステマ)にあたる恐れがあります。本人は「会社のためになる」と思って投稿したとしても、「企業がステマを実行させたのではないか?」という疑念を持たれかねません。
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デジタルネイティブ世代である最近の若者にとって、SNS上で自分の近況や考えを発信することは特別なことではないかもしれません。身の回りで起こった些細なことや、独り言のように思える内容まで、友人にメールを送るような感覚で投稿しがちです。
しかし、新入社員のSNSリスクを低減するためには、一人ひとりが勤務先の看板を背負っているという責任を自覚させる必要があります。
その上で、自社のコンプライアンスを遵守する意識を植え付け、SNSの投稿内容や利用環境に注意を払わせることが大切です。
●身元の特定につながる情報を投稿しない
SNSを匿名で利用していても、顔写真や過去の投稿内容から身元を特定されることがあります。そのため、本人の名前や企業名で検索したときに、個人情報が出てこないかを確認しなければなりません。匿名であっても、電話番号からアカウントを検索できる設定になっている可能性があります。
さらに、公開設定した写真や投稿文に個人名や企業名を判別できる素材が含まれていないかチェックすることも大切です。画像や文章に残ったわずかな情報を組み合わせて個人が特定されてしまう場合もあるため、身元を判別する手がかりになる情報は投稿しないことを徹底させる必要があります。
●投稿の公開範囲を制限
SNSプラットフォームの多くは、自分の投稿を閲覧できる人の範囲を設定することが可能です。公開範囲を制限すると、自ら発信した情報がとめどなく拡散することを防げます。
ただし、公開範囲を制限したからといって、何を発信しても構わないということにはなりません。
閲覧可能なメンバーによって外部に拡散されてしまえばそれまでのため、個人や企業の不利益につながる情報を発信させないようにしましょう。
●社内のガイドラインを周知・設定
近年は、社員向けにSNSのガイドラインやポリシーを設ける企業が増えています。個人アカウントを含むSNS利用の禁止事項や注意事項を明確にすることで、SNSリスクを低減する効果が期待できます。新入社員には、SNSにおける適切な作法をしっかりと周知し、理解を深めさせなければなりません。
ガイドラインについては、広報やマーケティング、法務、コンプライアンスの各部門が積極的に関与し、全社一体で定めることが必要です。また、社員の個人アカウントを含め、炎上の火種になりそうな投稿が発覚した場合のエスカレーション(業務上の上位者への報告・相談)先を設定しておくことも重要です。
ガイドラインの設定を検討している場合は、シエンプレの「ソーシャルリスク管理基本5文書作成支援」を活用していただけます。
このサービスにより、企業公式または社員個人のSNS利用に関する「指針・目的・ルール」などを記した「ソーシャルメディア(SNS)ガイドライン」や、炎上時の対応フローなどを定めた「炎上対応マニュアル」を整えることができます。
●SNS利用研修の実施
SNSリスクを避けるには、一人ひとりに「SNS上でどのような行動を取るべきか」を自覚させるための研修も重要です。実際に発生した炎上事例など、自社でも起こり得るケースを示すことで、当事者意識を持ちやすくなります。
ただし、炎上発生のトレンドは刻一刻と変化しています。どんなに優れた研修も、一度実施すれば安心ということにはなりません。
シエンプレでは、eラーニングによる「従業員向けSNS利用研修」の導入や、各業界で特有の炎上パターンも踏まえたリスクシナリオの作成、最新のトレンドやリスクシナリオを踏まえた研修プログラムの作成・実施にも対応可能です。
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siemple.co.jpまとめ
若者にとって、SNSは生活に欠かせない存在といえます。一方、社会経験が乏しい新入社員の投稿内容に潜むリスクは小さくありません。何気ない投稿が、自身の人生や企業に大きなダメージをもたらしてしまう可能性もあります。
そのような事態の防止に欠かせないのは、プライベート投稿を含めた不適切な情報発信を思いとどまらせ、万一の場合も企業が迅速かつ適切な対応を取れるようにすることです。
シエンプレは、予期せぬ炎上や風評被害、誹謗中傷など、あらゆるデジタル・クライシス(危機や重大なトラブル)の課題解決を親身にサポートいたします。気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
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