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ペットショップの「不適切な接客」から考察する企業の危機対応

公開日:2024.03.29 最終更新日:2024.07.11

店舗などでの接客対応は、顧客からのクレームと常に隣り合わせです。しかも、対応を誤れば、SNSなどで大きな騒動に発展してしまいます。本記事では、ペットショップで発生した「不適切な接客」の事例を取り上げ、正しい危機対応のあり方を考察します。

犬猫飼育を諦める最大要因は住宅事情

一般社団法人ペットフード協会が実施した令和4年全国犬猫飼育実態調査によると、国内で飼育されている犬猫は約1589万頭に上ります。前年から横ばいとは言え、15歳未満の子どもの数(約1435万人)を超える数字です。

一方、同調査では、犬猫の飼育意向がありながら「現在飼育していない最大の理由」について、犬については19.3%、猫については25.0%の人が「集合住宅に住んでいて、禁止されているから」と回答。飼育にかかる手間や費用などの要因を抑え、トップを占めました。

事実、ペット飼育が可能なアパートやマンションはまだまだ少なく、全国では10〜15%程度とも言われています。
ペット可の物件が運よく見つかったとしても、一般的な集合住宅より敷金・礼金の初期費用や家賃は割高な場合が多いのが実情です。そのため、泣く泣く諦めたという人は少なくないでしょう。

「小型犬はバレない」ペットショップ店員が唆す

こうした中、東京都内のペットショップでの接客に関するSNS投稿が拡散し、物議を醸しました。

投稿したのは来店客です。気に入った小型犬を抱いた後、店員に「今はペット不可のマンションで飼えないが、1年後を目安に引っ越しを考えている」と伝えたところ、「小型犬は散歩が必要ないしバレない」などと言われ、大家に隠して室内で育てることを勧められたというものでした。

実は、この投稿者はSNS上で美容関係の人気アカウントを運営していました。約13万人ものフォロワーがおり、今回の投稿も発信段階で多くのSNSユーザーに伝達されています。

さらに、この投稿内容は「『同様の事象を経験した』など共感を得られやすい」「ペットについての話題で一部SNSユーザーの関心が高い」「正義感を刺激される」という性質を持っていました。

そのため、投稿を確認したSNSユーザーが拡散行動に走ったと考えられます。

これに対し、店舗を運営するA社はネットメディアの取材に答える形でコメントを発表しました。

今回の接客は社内方針とは違う極めて不適切な対応で、社内ルールやマニュアルでは認めていないと釈明。ペットの売買契約の際も、ペットと暮らせる環境や家族の理解、協力があるかを必ず事前確認していると強調しています。

「系列店舗でも同様の営業トーク」など批判が続出

しかし、SNS上では「A社が運営する別の店舗でも同様の営業トークを受けた」と主張する投稿が続出。運営会社の営業方針や店員の責任感のなさ、接客態度を批判する投稿なども相次ぎました。

さらには、「猫の購入代金を自動車ローンとして組まれた」「子どもがアレルギーだから飼えないと伝えたら、『アレルギーは飼っていたら治る人もいる。どうしてもだめならクーリングオフをすれば良い』と言われた」といったことまで晒されたのです。

A社をめぐっては過去数年間にわたり、SNSやGoogle口コミ上に「ペット不可の物件でもバレない」と唆す不適切な接客態度や、強引な契約締結などに関する書き込みが存在します。

しかも、これらの投稿内容は複数店舗に関係していました。

今回の件について、A社は「対応スタッフを特定できなかった」と回答。しかし、類似事象が多数発信されているにもかかわらず詳細を把握していない有様は、世間の信頼を得られるものではありません。

不誠実な対応をする企業であるとみなされれば、機会損失やブランドイメージの低下も起こり得るでしょう

過去数年間にわたり自社に関するネガティブ投稿が続いていたことを早めに察知し、SNSやGoogle口コミなどのモニタリングなどを行うべきだったと言えます。

店員の不適切な対応を早期に発見できていれば、今回の問題が起こる前に対策をとることができた可能性があるからです。

自社の悪評は?社内課題は?モニタリングで浮き彫りに

このように、店舗や営業所など各拠点の実態については定期的な確認が推奨されます。

拠点数が多くなるほど、本部が個別の実態を把握しにくくなるのは当然です。

しかし、SNSなどの口コミを定期的にモニタリングすることで、顧客から見た各拠点の実態を確かめられます。

その結果、早急な課題の把握と社内体制の是正に向けた働きかけが可能になるのです。

自社の悪評を「単なる口コミだろう」と軽視してはいけません。ひとつずつ事実確認をした上で、是正すべき点は速やかに手を打つことが重要です。それにより、機会損失の回避と顧客満足度の向上を図ることができます。

シエンプレの「サイレントクレーム対策」(改善点の洗い出し・競合比較)は、自社の強みと弱みを競合他社と比較することで把握する仕組みです。オペレーションの改善点を洗い出し、サービスクオリティーの向上に寄与します。

また、目視とツールによる「Web/SNSモニタリング」を駆使すれば、不特定多数の投稿を収集・精査し、さらに情報感度の高い消費者の声を分析することが可能です。

具体的には全投稿のネガティブ/ポジティブを精査し、その割合を比較。投稿内容をカテゴリー別に分類し、ネガティブ/ポジティブ割合の可視化や社内課題の深掘りをすることもできます。

ネット論調を的確に把握、炎上時も速やかに鎮静化

さらに、シエンプレが提供している「危機対応支援サービス」も効果を発揮します。

「危機対応支援サービス」はインターネット上の口コミやニュース記事などを収集し、ネガティブかポジティブかという論調を把握します。これを通じてインターネット上の動向を分析することで、今後のリスクの度合いを診断します。

非常時には、緊急窓口のコールセンター立ち上げやマスコミ向け記者会見のセッティング・運営、プレスリリースのライティングサポートといった対応を、提携会社と連携して支援します。

さらに、事態が落ち着くまでの間もインターネット上の投稿やネットメディアの動きを「危機対応支援サービス」し、あらゆる変化を見逃さずに報告します。

検索エンジンはリアルタイムで汚染される恐れがあるため、関連キーワードは常時監視し、不適切な語句がヒットした場合は速やかに鎮静化させます。

ネット炎上のリスクを遠ざけ、有事の対応も誤らないようにするには、十分なデータと専門的な知見に基づくスピーディーかつ的確な判断が欠かせません。

「問題察知」と「緊急対応」を軸とするデジタル・クライシス対策の強化をお考えの場合は、国内ナンバーワンの契約実績と高い信頼性、豊富なノウハウが強みのシエンプレまで、お気軽にご相談ください。

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