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“映えない”SNS「BeReal.(ビーリアル)」の炎上リスクとは?企業が注意すべきポイント

“映えない”SNS「BeReal.(ビーリアル)」の炎上リスクとは?企業が注意すべきポイント

「BeReal.(ビーリアル)」は、フランスで誕生した異色のSNSアプリです。企業にとってはプロモーションのツールとなりますが、SNSである以上、炎上リスクも存在することを忘れてはいけません。今回は、BeRealの特徴や、公式アカウント運用や広告配信に取り組んでいる企業の事例、さらには炎上防止に有効な対策について紹介します。

BeReal.とは?

BeReal.がリリースされたのは2020年で、SNSの世界では“ニューフェイス”です。リリース直後はさほど注目されませんでしたが、2022年の初めから、いわゆるZ世代を中心として急速に人気が高まりました。

2024年6月にBeReal.を買収したフランスのVoodoo社によると、2024年12月時点における日本国内の月間アクティブユーザー数は450万人を超えています。

また、ユーザーの8割以上は学生といわれています。「BeReal.」という単語は「2024年ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされ、食べ物・モノ部門で1位を獲得しました。

“映えない”がコンセプト

BeReal.が他のSNSと最も異なるのは、“映えない”ことをコンセプトとしている点です。BeReal.ではInstagramのように、画像処理フィルターや飾り付けを駆使した写真の加工は一切できません。

また、1日に投稿できるのは、基本的に1回だけという点も異なります。アプリからランダムな通知があったタイミングで、原則2分間以内に投稿しなければならないという独特のルールも存在します。

さらに、投稿する写真はスマートフォンのアウトカメラだけでなく、インカメラでも同時に撮影されます。そのため、リアルな瞬間の自分の顔もカメラに収まり、アップロードされることとなります。

写真を加工できない上、投稿のタイミングもランダムで制限時間があるため、そもそも“映える”写真を撮ることが難しく作られています。そのようなレギュレーションにより、ユーザー同士が生の写真を共有し合えるというわけです。

「SNS疲れ」「映え疲れ」のユーザーにフィット

BeReal.は、ありのままの自己表現を促すことで、他者との自然な関係を築けるプラットフォームを提供しています。

日常のリアルな瞬間をユーザー同士で楽しめるというオリジナリティを持ちますが、結局は写真アプリであることに変わりありません。それなのになぜ、BeReal.は“映えない”ことをコンセプトとしているのでしょうか?

BeReal.が“映えない”を打ち出している背景には、SNS界隈で話題となっている「SNS疲れ」や「映え疲れ」があります。

SNSには、多くのユーザーとつながれるメリットがあります。

ところが最近、心理学の専門家などからは、たくさんの友達やフォロワーとコミュニケーションを取り続けることに気疲れしたというユーザーの増加が指摘されています。このような状態が「SNS疲れ」です。

InstagramやTikTokでは、見栄えの良いスタイリッシュなコンテンツが高い評価を得やすく、注目も集めやすい仕組みになっています。

自分が投稿する写真を映えさせようと躍起になり、コンテンツを目にした人たちの反応に一喜一憂する毎日。そんな生活に苦痛を感じるようになったユーザーの「映え疲れ」も話題に上っています。

BeReal.のアプリには、次のような注意書きが記されています。

「『BeReal.』で有名になることはできない。インフルエンサーになりたければ、TikTokやInstagramでどうぞ」

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企業のBeReal.活用事例

BeReal.は2024年2月、ブランドや著名人向けの公式アカウント機能「RealPeople and RealBrands」をスタートさせました。

2024年8月には、日本でも広告事業を開始し、若年層とのエンゲージメントを深めたい企業を募っています。

Qoo10

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは、2024年12月にBeRealの公式アカウントを開設しました。

オンラインマーケットプレイスを運営する日本企業としては初の試みで、仕事をしている社員を写したオフィスの一コマや、提携している倉庫の光景など、通常なら見ることができない希少な「リアル」を配信しています。

また、クイズ企画やコーディネート投稿企画などフォロワーが参加できる機会も提供し、社員と一緒に盛り上がれるイベントも開催しています。

サイバーエージェント

サイバーエージェントは2024年8月31日、Netflixで初めて公開される、日本を舞台にしたオリジナル学園ドラマの広告プロモーションをBeReal.で展開しました。

わずか1日限定の特別コンテンツでしたが、24時間で4900万ものインプレッションを獲得することに成功しています。

高校を舞台に、若者の間で人気の俳優陣が出演するドラマのメインターゲットは高校生・大学生です。そのことを踏まえた戦略的なプロモーションが、若年層のユーザーが多いBeReal.にマッチしました。

ケンタッキー・フライド・チキン

ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)のBeReal.広告には、人々がKFCの商品をつまんでほお張る自然な食事シーンが収められています。日常と変わらない「ありのまま」の光景で、これといった仕掛けのある演出は見られません。

まさに、BeReal.で重視されている「リアルな瞬間」を意識した仕上がりで、ユーザーに親しみを感じさせています。

BeReal.によるマーケティングの秘訣は?

BeReal.によるマーケティングでは、若年層とのつながりが深まることが期待されますが、企業にとっては既存のSNSとは異なる手法を取ることが求められます。

成功の秘訣は、いかにも広告のような見せ方をせず、企業のリアルな姿を自然に伝えることです。ユーザーの日常に溶け込むコンテンツを発信することが、企業の認知度やブランドイメージを高めることになります。

例えば、仕事の裏側や社員のオフショットをリアルタイムで公開したり、自社の製品・サービスが利用されているシーンをナチュラルに見せたりすることで、フォロワーとの距離を縮めることができます。

企業が活用する際の注意点

BeReal.は、ユーザーに対して1日1回、ランダムな時刻に写真を撮影して共有するようリクエストします。

このような仕組みが目指しているのは、ユーザー自身の、より自然なありのままのショットを生み出すことです。他のSNSでありがちな加工や演出をあえて排したプラットフォームは独特ですが、その人気は高まるばかりです。

しかし、こうした特色は、企業がBeReal.の公式アカウントを活用する際に注意しなければならないポイントともいえます。

ランダムな投稿タイミングに対応しにくい

BeReal.に投稿できる時刻は一貫性がなく、前もって把握することもできません。

そのため、自社が投稿したい時間帯に合わせてコンテンツを準備しておくことは不可能です。一定の品質を保った写真を、いつでも配信できるようにする体制を整えるのは、並大抵のことではありません。

もちろん、BeReal.への投稿担当者が会議に参加している間や接客中は、通知があったからといって写真を撮るわけにいかないでしょう。仕事をしながら気まぐれなリクエストに応えて続けるのは、相当な苦労を伴うことが考えられます。

ブランドイメージのコントロールが難しい

通常のSNSマーケティングでは、企業がブランドイメージにとってマイナスにならないよう、投稿するコンテンツを事前にチェックします。

しかし、BeReal.のコンセプトは、ありのままの表現です。通知が届いてからは原則2分間以内に投稿する必要があるため、投稿するコンテンツをコントロールするのは困難です。

チェックが不十分なまま投稿すれば、意図しない写真が公開され、ブランドイメージを損なうことになりかねません。

情報漏洩やプライバシー侵害のリスクがある

企業内で撮影した写真をリアルタイムで投稿することは、情報漏洩やプライバシー侵害のリスクをはらみます。

例えば、機密情報が書かれた書類やパソコンの画面、あるいは開発途中の製品を誤って公開してしまったり、たまたま居合わせた顧客や取引先の関係者の顔が写り込んでしまったりすることが考えられます。

BeRealの投稿は24時間で消える仕様ですが、スクリーンショットで保存されてしまえば、外部に流出する可能性がないとはいえません。

マーケティング効果の測定が困難

BeReal.は誕生から日が浅いプラットフォームです。そのため、InstagramやFacebookで使われている高度な分析ツールは、まだ整っていません。

投稿の労力に見合う効果を得られているのかがわかりにくければ、マーケティングは手探りになってしまいます。そうなると、思うような成果を上げられなくなる可能性が高まるでしょう。

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まとめ

BeReal.は、他のSNSにはない特徴が支持されているプラットフォームです。若者の間で人気が沸騰しており、自社のマーケティングに活用する企業も増えています。

BeReal.をうまく活用できれば、新しい顧客層にアプローチするチャンスは大きく広がります。就活生のリクルーティングに活用できれば、反響を呼ぶ可能性は十分にあるでしょう。

一方、企業がBeReal.を活用する際は、情報漏洩など重大なインシデントにつながるリスクもはらみます。公式アカウントを運用する場合は、難しさもしっかり理解した上で、計画を立てて取り組んでいかなければなりません。

シエンプレは、お客様の企業が直面する、あらゆるデジタル・クライシス(危機や重大なトラブル)の課題解決を親身にサポートします。

自社のSNS運用などで気になる点や、リスクマネジメントにおける不安などがございましたら、どんなことでもお気軽にご相談ください。


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