牛丼店のネズミ混入事案から学ぶ企業が取るべき炎上対応

牛丼チェーン大手・すき家の店舗で提供された味噌汁にネズミの死骸が混入していた事案は、SNSユーザーをはじめとする消費者を騒然とさせました。今回は、前代未聞の異物混入事案がたどった顛末と、企業が取るべき炎上対策について考察します。
目次
滝沢ガレソ氏が取り上げて拡散
2025年3月21日、暴露系インフルエンサーの滝沢ガレソ氏が、Xに上げた投稿は、まさに目を覆いたくなるような画像でした。
写っていたのは、牛丼チェーン大手・すき家の店舗で提供された味噌汁に混入していたネズミの死骸です。ネズミ入りの味噌汁の画像と口コミは、1月にGoogleマップに投稿されたものでしたが、滝沢氏が取り上げたことでXでも話題となりました。
滝沢氏の投稿の翌日、すき家は現時点の調査状況を発表しました。そのなかで、「その場で従業員も目視を行い、異物が混入していたことを確認しています」と、ネズミ混入が事実であることを認めました。
その上で、味噌汁の提供前に従業員は異物混入に気付かなかったことや、原因を究明中であること、当該店舗の衛生検査を実施したことを報告しています。
滝沢氏の投稿の後、X上では事案の公表が2ヶ月も遅れたことへの批判が殺到しました。
炎上の火種はGoogleの口コミの中にも? モニタリングとオーナー返信の重要性 | シエンプレ株式会社
siemple.co.jp批判が一転、客の自作自演を疑う声
ところが、3月27日にリリースされた2回目の報告で、X上の論調は大きく変化します。
そのきっかけとなったのは、異物混入の経路に関する調査結果でした。報告には「混入した異物は加熱されていなかった」との旨の記述があり、「科学的な視点からも異物が鍋に混入した可能性は著しく低い」と書かれていました。
これを受け、X上では客の自作自演を疑う声が増し、自作自演説に付随して「すき家は嵌められた」「国産米を使っているから狙われた」「日本企業を応援しよう」という陰謀論まで飛び出します。
すき家は、3月28日に別の店舗で発生したゴキブリの混入事案も受け、全店舗の一時閉鎖を発表しました。それでも、X上では「頑張ってください」「食べに行きますよ」といった擁護のコメントが多く集まりました。
すき家は一部店舗を除く全店で24時間営業を取り止め、店舗営業中に実施しづらい機器の裏側の清掃などを行う時間を確保することも公表しましたが、やはり好意的な反応が目立ちました。
2025年4月時点でも、すき家を擁護する意見は批判を上回っており、Xの関連投稿全体の約7〜8割を占めると推計されます。「ネズミは加熱されていなかった」という発表で世間の論調が変わり、事なきを得たのは明白です。
事案発生直後の広報対応などに課題も
一方、すき家の店舗に対しては以前から、Googleマップなどにおいて「店内が汚い」などの指摘がたびたび見受けられました。ネズミの混入は、それらの指摘を活かせていなかったことが原因で起こってしまった可能性があります。
また、今回の事案が発生した店舗は、Googleマップの投稿には返信していません。店舗ビジネスではGoogleマップのコメントを把握することが重要で、SNSでの拡散前に対応しておくことが求められます。
さらに、ネズミが混入したのは1月で、口コミの投稿者は店側にも報告していました。すき家としては、事案の発生直後から広報対応を行うべきだったといえます。
ネズミやゴキブリの混入は、当該店舗に限った問題なのか、すき家全体の問題なのかも消費者に伝わりにくい状況でした。
他の店舗は安心して利用できる状態なのか、他の店舗にも衛生面の不安があるなら、今後どのような取り組みを行うのかについても、早めに開示する必要があったことは否めません。
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ちなみに同時期は、店舗の嘔吐客を放置した対応が問題視された焼肉きんぐが炎上し、すき家の炎上と絡めて行われた投稿も確認されています。「すき家より焼肉きんぐが営業休止するべき」という投稿は、多くのインプレッションを集めました。
炎上しているワードと絡めた投稿のインプレッションが増えれば、通常より拡散されやすくなります。同業他社の炎上時は炎上が飛び火することや、自社に関するネガティブ投稿が拡散される可能性があるため、注意が必要です。
企業対応が称賛された異物混入事案も
すき家の事案が騒動となった半面、過去には企業の事後対応が称賛されたケースも存在します。そのひとつが、敷島製パンの事案です。2024年5月、東京多摩工場で製造された食パンに小動物らしきものの一部が混入していたことが判明した本事案では、発生から2日で速やかに第一報の公式リリースが行われました。
リリースの内容に関しても、影響範囲や事象が明確で、サイト上でもわかりやすく説明されていました。その結果、憶測や誤情報が飛び交うことはなく、SNS上で新たな論調が形成されることもないまま事態は収束しています。
スピーディーな調査・自主回収の発表を行ったことは、問題の商品が広く一般消費者の手に届く前に回収できたことにつながりました。お詫びのQUOカードの発送についても、対応の早さを称賛する声が聞かれました。
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飲食店にとって、異物混入を100%防ぐことは困難です。また、どんな業種・業界であっても、炎上リスクと無縁の企業は存在しません。
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まずは、ネット上の口コミ評判やニュース記事などに見られる論調を分析し、想定されるリスクを診断します。
提携会社と連携した緊急のコールセンター開設や、記者会見のセッティング・運営、メディア側を納得させられるだけの根拠を持たせたプレスリリース執筆といった、事後対応も手厚くサポートすることが可能です。
事態が落ち着くまでの間は、顧客企業に関するネット上の投稿やネットメディアの論調を継続的にモニタリングし、世論の変化などを漏れなく報告します。
検索エンジンで表示される顧客企業の関連キーワードも隅々までチェックし、ネガティブワードが浮上したとしても速やかに収束させることができます。
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