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ジェンダー広告の炎上事例!企業の方策を紹介

ジェンダー広告の炎上事例!企業の方策を紹介

ジェンダー平等が叫ばれている中、企業の広告やコンテンツの炎上が後を絶ちません。ジェンダー炎上の実例をもとに、発生理由や防止策について解説します。

性別の価値観が多様化している中、ジェンダー問題はネット炎上を招きやすいテーマのひとつといえます。企業がジェンダー炎上を起こせば、「差別的」というイメージが広がってしまいかねません。本記事ではジェンダー炎上の具体例をもとに、発生理由や防止策を解説します。

ジェンダーとは?

国連組織のUNウィメン日本事務所によると、ジェンダーとは「男性・女性であることに基づき定められた社会的属性や機会、女性と男性、女児と男児の間における関係性、さらに女性間、男性間における相互関係」を指します。

同事務所では、ほとんどの社会では、「課せられる責任や負うべき活動、資金・資源へのアクセスと支配、意思決定の機会において、女性と男性の間に違いや不平等が存在」するとの問題提起もしています。


引用元:ジェンダーとは? | UN Women – 日本事務所

ジェンダー炎上が起こりやすくなっている背景

日本でジェンダー問題が注目されるようになった背景のひとつには、1979年に国連で採択され、1985年に日本が批准した、国際的な「女子差別撤廃条約」が挙げられます。

同年に日本で制定された男女雇用機会均等法は、1997年の改正で女性であることを理由とする差別的扱いの禁止が定められ、2006年には男女ともに性別を理由とした差別的扱いが禁止されています。

また、1990年代には、学校教育でも家庭科の男女共修が進みました。ジェンダーに対する世の中の感覚が研ぎ澄まされてきたことで、ステレオタイプの古い価値観と衝突しやすくなっているのです。

企業のジェンダー炎上事例

ジェンダー炎上は、ジェンダーについて「こうあるべき」「こうあるのが自然」といった先入観や差別・偏見を含んだ発信によって起こります。

企業の広告やコンテンツでも、「ジェンダーへの配慮が足りない」と指摘される内容が発信されてしまうケースが続出しています。

アニメCMの女性描写に「セクハラ」などのコメント

大手食品メーカーの東洋水産は、カップ麺を宣伝するWeb限定アニメCMをSNS上で公開し、ユーザーの論争を招きました。

このCMは、女性が薄暗い自室でテレビを眺めて感動するシーンから始まり、頬を赤らめて涙ぐみながらカップ麺を食べるというシチュエーションが描かれています。賛否は分かれたものの、SNS上では「セクハラCM」「男性向けに作られた内容」といった批判的なコメントが相次ぎました。

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ショーツを着用した女性モデルの写真に批判

専門小売大手の無印良品は、ショーツを着用した女性モデルの写真をECサイトに掲載しました。一部のSNSユーザーからは、「パンツだけ履いた女性の下半身の写真サムネがぞろぞろ出てきて『キモ!』ってなった」などの批判が上がりました。

これらの投稿が拡散されると、SNS上では「こんなところに性別による扱いの違いが転がっているとは驚き」など、さまざまな意見が飛び交いました。

駅広告に「ルッキズムを助長」

スキンケアやボディケア商品を扱うブランドのダヴは、「私たちに必要ないカワイイの基準」と題した駅広告を展開し、物議を醸しました。広告は「基準や正解」とされている容姿のワードに対して打ち消し線を用い、「#カワイイに正解なんてない」と異論を唱える内容でした。

公式の特設ページでは、「子どもたちの自己肯定感を育むことが目的」として特集が組まれました。しかし、この広告がSNSで拡散されると、「ルッキズムを助長している」「既存の美容界隈の美の基準を知らしめた」「通学中に見たら泣く」などの批判が殺到しました。

CM動画の描写に「女性を奴隷扱い」

大手家具メーカーのイケアはサイドテーブルのCM動画で、ソファに座ってテレビを見ている父娘に母とみられる女性がトレーに載せたジュースや菓子などを運び、跪いたような格好で給仕する様子を描写しました。

CM動画に対しては、女性の描写に不快感を示す声が上がり、「女性を奴隷のように扱っている」といった指摘も聞かれました。

Tシャツなどのメッセージに「男性差別」

ベビー・子ども用品専門店のバースデーは、「ママがいい」「パパは全然面倒みてくれない」「パパはいつも寝てる」と書かれたTシャツなどを販売し、波紋を呼びました。

ネット上では「男性差別の商品を売り出すのはおかしい」「デザインにOKを出した感性を疑う」といった声が続出しました。

ジェンダー炎上を防ぐために必要な方策

ジェンダーの考え方や価値観は、ここ数十年で大きく変わりました。たとえば、一家団らんのシーンを描いた過去の広告などでは、お母さんが台所に立つのが当たり前でした。しかし、このような発信内容は現在の風潮に合っていないと言わざるを得ないため、適切なチェック体制・項目に基づいて再考する必要があります。

複数の目で検証する

公式アカウントで発信する投稿やクリエイティブの内容を担当者が1人で判断し、そのまま公開する体制は、SNS炎上を招くリスクを高めます。ジェンダーにかかわる差別的な発信は、担当者などの認識不足や無意識の固定観念から生まれる可能性もあります。

ジェンダー炎上の原因となり得る要素を完全に排除するには、チームによるチェック体制が欠かせません。ジェンダーに関する考え方は人それぞれのため、性別や年齢の枠を超えて「それはおかしいのでは?」と違和感を表明し合える組織を社内に設けることが有効です。

「社内で多様な文化をつくること」こそが、ジェンダー炎上の防止に役立ちますが、そのような組織をすぐに実現することが難しい場合は、社外の「第三者の意見」を取り入れる手もあります。

シエンプレが提供する「クリエイティブリスク診断」のサービスは、まさに「第三者の意見」となります。これから展開しようとするクリエイティブやプロモーションの炎上リスクを多角的にチェックするサービスで、使用する表現やテーマが世間に受け入れられるかどうか、過去の炎上事例データベースや直近の世論に基づいて見極めます。

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チェック項目を明確にする

世代や性別が異なる複数名が多角的な視点で検証する体制を構築したとしても、漠然とした基準のチェックを繰り返すだけでは意味がありません。ジェンダー炎上の火種はどこに潜んでいるかわからないからこそ、チェック項目を明確にしておく必要があります。

具体的には、「『男性あるいは女性はこういうもの』という固定観念を含んでいないか」「人目を引くために性的な表現を用いていないか」「容姿や外見の差別を助長する内容ではないか」といった点です。もちろん、「多様な性的志向を無視・否定していないか」という観点も欠かせません。

また、これまでは「ジェンダー問題=女性蔑視」が炎上のトレンドでした。しかし、現在は、いかなる性も差別してはならないという風潮が強まっています。そのため、「男性差別」と受け取られる内容も炎上リスクが高まります。さらに、性的少数者(LGBTQ)に対する配慮を欠いた表現や、その存在を無視するかのようなコンテンツも、深刻な企業イメージの低下を招く炎上事例が過去に発生しており、十分に注意が必要です。

まとめ

ジェンダーに関しては、過去には炎上しなかったような内容のコンテンツが炎上したり、問題になったりすることもあります。

女性を応援する目的のメッセージであっても、女性の役割やイメージを縛り付けるような表現は問題視され、炎上する風潮が強まっています。

こうした変化をしっかりと押さえておかなければ、世の中の反発を招いてしまいかねません。

シエンプレでは、風評被害や誹謗中傷、ネット炎上など、あらゆるデジタル・クライシス(危機や重大なトラブル)の課題解決を親身にサポートいたします。貴社のリスク管理で気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。


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