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企業CMの炎上を防ぐには?事例に基づく炎上理由と対策を徹底解説!

公開日:2025.06.20

企業CMは、自社の商品・サービスを広くPRする手段として活用されています。しかし、誰もが手軽に情報を発信・拡散できるSNSが普及した現代では、表現への批判で炎上するケースが多く見受けられます。今回は、企業CMが非難を浴びてしまう理由と、炎上を防ぐ対策について解説します。

企業CMが炎上する理由

企業CMが炎上に至る理由はさまざまですが、シエンプレが運営するデジタル・クライシス総合研究所がまとめた「デジタル・クライシス白書2025」によると、炎上理由で最も多いのは「特定の人を不快にさせるような発言・行為」です。企業CMの場合、批判的な感想や不満・不快感などがSNSで発信・拡散され、炎上に発展する恐れがあります。

ジェンダーバイアス

ジェンダーバイアスとは、男女の役割や行動に対する固定的な観念を指します。他意はなかったとしても、ジェンダーへの配慮に欠けるメッセージ・演出だと受け取られてしまえば、それが炎上の火種となってしまいます。

昨今は、すべての人が性別に関係なく平等に機会を与えられるジェンダーレスの考え方が尊重されています。社会的・文化的な性差をなくそうという機運が高まる中、従来は問題視されなかった表現も「差別的」と指摘されるケースが増えています。最新の社会通念と照らし合わせ、批判を招かない表現方法を慎重に見極める必要があります。

ルッキズムを連想させる表現

容姿や外見に焦点を当てた表現は、視聴者の反感を買うリスクを高めます。化粧品やファッションなどのCMは、「美しさ」や「若々しさ」を強調しがちなので、外見重視主義や外見至上主義と言われるルッキズムを連想させかねません。

人を見た目で判断することや、「女性はきれいでいなければならない」といった価値観は、差別や偏見を助長するリスクをはらんでいます。そのような価値観の押し付けに息苦しさを覚えたり、悩んだりしている人も多くいるということを忘れてはいけません。

過激な表現

企業CMは、インパクトのある表現が商品・サービスを印象付け、広告効果を高める側面があります。ただし、人目を引こうとインパクトを追求し過ぎるのは考えものです。

たとえば、公序良俗に反するような性的な表現やマナー違反をイメージさせる表現は、一部の層に効果的であることがあっても、多数の視聴者には不快感を与えるため、せっかくの広告が逆効果になってしまいます。

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企業CMの炎上事例

では、過去にはどんな企業CMが炎上したのでしょうか。一部の事例を紹介します。

「夫が年上すぎて親子に見える」とクレーム

日用品大手メーカーの花王が公開した柔軟剤のPR動画は、登場した共働き夫婦の年齢差が開いて見えたことが物議を醸しました。

公式Xのコメント欄には、「久しぶりに心温まるCMを見た」「良い夫婦」といった肯定的な意見が寄せられたものの、「親子に見える。気持ち悪い」「今の時代にそぐわない。非現実的」といったクレームも多く書き込まれました。

「高齢者は集団自決」発言の経済学者起用に非難

大手ビール会社のキリンは、経済学者の成田悠輔氏を広告に起用しました。しかし、成田氏は過去に「高齢者は集団自決すればいい」という過激な発言をしていたため、SNS上に非難が殺到しました。

SNS上では「#キリン不買運動」などのハッシュタグが使われ、広告起用への不快感や、キリンの高齢者福祉事業との整合性を問う声が広がりました。キリンは成田氏を起用するとした投稿を削除し、広告とムービーも取り下げています。

効果音が「Jアラートに似ている」との指摘

日用品大手メーカーのライオンは、テレビCMで流した効果音が「Jアラートに似ている」と指摘されました。

SNS上では、「確かに似ている」「注目させるためにわざと似せたのでは?」「朝、テレビから聞こえてびっくりした」など、戸惑う声が上がりました。過剰反応ではないかとの意見も聞かれたものの、同社はこのCMの放映を中止し、YouTube公式チャンネルでも非公開としています。

若い女性が頬を赤らめるアニメCMに「セクハラ」の声

食品大手メーカーの東洋水産は、「赤いきつね」のWeb限定アニメCMが賛否両論を巻き起こしました。このCMは、薄暗い自室でテレビドラマを見終えた若い女性が、頬を赤らめて涙ぐみながら「赤いきつね」を食べるという光景をアニメで描いたものです。

公開当初は特段の話題になりませんでしたが、SNS上では「きっしょ!」「セクハラCM」「男性向けに作られた内容」といった批判的なコメントが相次ぎ、急激に拡散しました。

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企業CMの炎上を防ぐ対策

先述したように、企業CMの炎上理由は多岐に及びます。炎上を防ぐためには、以下のような対策が求められます。

多様な価値観に配慮する

ジェンダーやLGBTQなど社会的に注目されているテーマを中心に、世の中の価値観は多様化しています。

コンテンツを制作する際にターゲット層を設定し、その層に受け入れられそうな表現を取り入れることは大切ですが、CMを見聞きするのはターゲット層だけとは限りません。

企業CMは不特定多数の耳目に触れることを前提とし、「リスクのある表現はないか」「決めつけや押しつけと捉えられる表現はないか」を多角的に検証する必要があります。

複数の目でチェックする

炎上の原因となり得る要素を排除するには、チームによるチェック体制が欠かせません。世代や性別、職位など、さまざまなバックグラウンドを持つ複数名が炎上リスクに目を光らせることで、幅広い観点や価値観に基づくチェックが可能となります。

第三者である外部の専門家にアドバイスを受けることも効果的です。シエンプレは、CMのテーマや表現はもちろん、展開先のメディア、起用するタレントにも問題はないかなど、高度なクリエイティブリスク診断サービスを提供しています。「世の中に誤解なく受け入れられるか」との観点で、テキスト素材やリリース文などに潜むリスクを徹底的に洗い出します。

SNS投稿をモニタリングする

炎上リスク発生の予兆となりそうなSNS投稿を早い段階で検知できれば、自社コンテンツに対する批判理由の把握や正しい情報の発信に素早く着手できます。そのための効果的な手段は、SNS投稿を自動的に監視・収集するモニタリングです。

社内のリソースによるモニタリングの体制構築やノウハウに不安がある場合は、弊社の「Web/SNSモニタリング」サービスをご利用いただけます。専門的な知見を持つ担当者による有人監視やシステムを駆使した24時間体制のモニタリングを行い、炎上の気配をいち早く察知して顧客企業に注意喚起いたします。

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まとめ

企業CMをはじめとしたプロモーションの炎上リスクを一発で回避できる“特効薬”は存在しません。差別や偏見に対する社会通念は、年を追うごとに厳しさを増しています。これまで多くの実績がある大手広告代理店にCM制作を委ねたとしても、炎上を絶対に防げるとは限らないのです。

「ジェンダーに配慮する意識が足りない」「女性もしくは男性の尊厳を蔑ろにしている」といった批判を受ければ、企業のコンプライアンスが揺らぐ事態に発展しかねません。社会からの信頼が失われると、集客・売上や株価、さらには採用活動が停滞します。ダメージを回復させるには、膨大な時間と手間を要することになるでしょう。

シエンプレは、国内唯一のデジタル・クライシス(危機や重大なトラブル)対策カンパニーです。8,000社を超える取引実績から得た豊富なノウハウを活かし、予期せぬ炎上や風評被害、誹謗中傷など、あらゆる課題の解決を親身にサポートいたします。自社のリスクマネジメント体制の強化を検討されている場合は、お気軽にご相談ください。


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