直近の“カスハラ騒動”に見るSNSの論調と問われる企業対応

近年、顧客などによる迷惑行為を指す「カスタマーハラスメント」が社会問題となっています。SNSでの暴露も後を絶たない中、カスハラを許した企業に対する世間の目は厳しさを増しています。直近の騒動から、カスハラを巡るSNSの論調と企業に問われる対応について考察します。
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大阪万博の入場者男性に警備員が土下座
日本国内では2005年の愛知以来、20年ぶりの大規模万博となった大阪・関西万博。2025年4月13日の開幕後、テレビなどのマスメディアでは、連日のように会場の盛況ぶりが報じられました。
ところが、開幕から10日も経たないうちに、テレビのニュース番組で取り上げられたのは、万博の入場者男性が警備員にカスタマーハラスメントを行っているように見える映像でした。
きっかけとなったのは、男性が警備員に土下座をさせている様子の動画や画像がXで拡散し、「カスハラではないか?」と大きな波紋を呼んだことです。
X上では「威力業務妨害で逮捕ではないか?」「一生懸命働いている人に土下座させるなんて」「カスハラで済ませてはならない」といった批判が続出し、「土下座万博」と揶揄する言葉も飛び交いました。
土下座は警備員の意思だった?
番組では「男性が警備員に『土下座しろ!』と言った趣旨の大声をあげ、それを受けて警備員が土下座をした」と説明されました。
しかし、番組の放送翌日、怒鳴っていた男性の『(当初、世間から)家族と思われている者(実際は男性と無関係)』を名乗る人物のThreads投稿が、プラットフォーム内で拡散しました。投稿に書かれていたのは、警備員が自らの意思で土下座をしたという旨の記載でした。
この事態について、万博協会の広報報道課はメディアの取材に対し、「男性客が警備員に駐車場に関する質問をした際、正確な案内ができなかったことからやり取りがエスカレートし、身の危険を感じた警備員が自らの判断で土下座をした」と釈明しました。
万博協会に「責任逃れ」との批判が殺到
しかし、この説明は「組織としての管理責任から目を逸らし、警備員個人に責任転嫁している」「スタッフを守る姿勢がない」など多くの人の怒りを買い、結果的に火に油を注いでしまうこととなりました。
その後、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は、カスハラに対する基本方針を発表。カスハラの定義やカスハラに該当する主な行為、カスハラへの対応、協会職員に対する取り組みの4項目について示しました。
スタッフを守ろうとする姿勢を打ち出したことについて、SNS上ではポジティブな投稿が拡散されました。
しかし、基本方針を打ち出したタイミングが後手に回ったことに対しては、準備不足であるとの指摘が上がりました。さらに、基本方針の内容が消極的であるといった厳しい意見も寄せられています。
弁護士×炎上予防専門家が解説!企業に求められるカスハラ対策とは? | シエンプレ株式会社
siemple.co.jpカスハラ防止に向けて問われる企業姿勢
カスハラについては、政府が3月11日、顧客や取引先から理不尽な要求を受ける行為の防止策を全企業に義務付ける労働施策総合推進法などの改正案を閣議決定しました。
企業は国が示す指針に基づいて対策を講じ、自社の対応方針をあらかじめ明確にすることが求められます。また、現場からの相談を受けられる体制の整備など、従業員を守る取り組みを進めなければなりません。
対策を怠った企業には国が指導や勧告を行うことができ、従わない場合は企業名を公表することも可能です。
カスハラ防止に向けた企業姿勢が問われる中、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、4月18日に「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を発表しました。
基本方針では、土下座や過度な金銭補償の要求、SNS上での誹謗中傷などをカスハラと 定義し、該当する行為があった場合はサービス提供を拒否し、必要に応じて法的措置を講じるとしています。
カスハラ・客テロに備える!危機管理コミュニケーションで組織を守る対策法 | シエンプレ株式会社
siemple.co.jpThreads投稿がXに持ち出されて炎上する可能性も
企業が対策を急ぐ背景には、SNS上ではカスハラを疑われる投稿が後を絶たないのも事実です。
3月には、焼肉きんぐ店舗の衛生面や店員の対応を指摘するThreads投稿が話題になり、その投稿のキャプチャを添付した投稿がXで拡散しました。
自社の従業員に対する同様の投稿が拡散した場合は、企業としての責任や対応を問う声が強まる可能性もあります。
比較的クローズドなコミュニティのThreadsは、Xに比べて拡散機能が穏やかですが、スクリーンショットによってXに投稿が持ち出される可能性があります。強力な拡散力を持つXで元の文脈から切り取られ、炎上しないとも限りません。
実際に、2025年はThreadsの投稿が話題になってXに転載され、炎上するケースが散見されます。他媒体のSNS投稿がXの炎上の火種になるリスクは高まっているため、包括的にモニタリングを行うことが重要です。
もちろん、ユーザー数が急速に増えているThreadsで自社絡みの投稿が炎上する可能性もあり、従業員へのSNSリスク研修にもその視点を含めて予防策を講じることが求められます。
「Threads(スレッズ)」の炎上リスクと企業が取るべき対策とは?
「Threads(スレッズ)」は、米国のMeta社が提供している新たなSNSプラットフォームです。企業にとっては、
https://www.siemple.co.jp/isiten/シエンプレのモニタリングで炎上の火種を監視
シエンプレのサービスでは、有人とシステムによる24時間・365日体制の「Web・SNSモニタリング」をご用意しています。炎上を防ぎ、万一発生した場合も被害を最小限に抑えるために最も重要なのは、ネット上の論調を迅速かつ正確に把握することです。
世間の人々が自社に対してどのような意見を持ち、何を求めているのかを知るためには、SNS投稿や口コミなどを常にモニタリングすることが不可欠です。モニタリングは、炎上の火種の早期発見にもつながります。
シエンプレのサービスでは、Googleマップなどの口コミなどもリサーチできます。
さらに、2025年5月時点においては、Threadsのモニタリングツールを開発中です。
Web/SNSモニタリング | シエンプレ株式会社
SNSが隆盛を誇る昨今、「炎上」はいつ自社で起こるか分からない現象です。その原因は多様化していますが、迅速に対策をとるこ…
siemple.co.jpカスハラ対応方針などの文書作成も支援
また、「リスク管理文書作成支援」では、カスハラの対応方針やSNS利用規約、炎上対応マニュアルなど、さまざまなリスク管理文書の作成をコンサルティングできます。
文章の作成のみならず、社内への理解・浸透を深めるプロセスにも対応します。
ソーシャルリスク管理体制構築支援サービス紹介資料 | シエンプレ株式会社
siemple.co.jp万一の炎上発生時も迅速な沈静化が可能
加えて、炎上時や炎上後の適切な対応に効果的なメニューが、「危機対応支援サービス」です。
炎上が発生した際は、静観や反論を含めた多様な対応を検討する必要があります。取るべき手段を誤らないためにも、まずは顧客企業に関するネット上の書き込みやニュース記事などの論調を分析し、想定されるリスクを診断します。
必要となれば、提携会社と連携した緊急のコールセンター開設や、記者会見のセッティング・運営、メディア側を納得させられるプレスリリースの執筆といった事後対応も的確にサポートします。
事態が落ち着くまでの間は、顧客企業に関するネット上の投稿やメディアの論調を継続的に追跡し、世論の変化などを漏れなく報告します。
検索エンジンで表示される顧客企業の関連キーワードも詳細にチェックし、ネガティブワードがヒットした場合も速やかに収束させます。
国内No.1の取引実績と信頼性、高度なノウハウを発揮
炎上リスクを最小化し、いざというときも適切な対応を取るには、専門会社のサービスを活用することが効果的です。
デジタル・クライシス対策の強化を検討される場合は、国内No.1の取引実績と信頼性、高度なノウハウを持つ弊社まで、お気軽にご相談ください。
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