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不適切イベントから失言まで。コロナを巡る炎上が引き続き増加(デジタル・クライシス白書-2021年9月度-)【第68回ウェビナーレポート】

公開日:2021.10.06 最終更新日:2023.06.21

企業SNSの投稿は目的、タイミングが重要

桑江:まずは、法務省の公式Twitterです。いわゆる「Twitter構文」「オタク構文」のツイートを投稿しました。入管施設に収容中のスリランカ人女性が死亡した問題が議論を呼んでいる中で、「このような軽いツイートはいかがなものか」など多くの批判が集まったところです。
ただ、この投稿はタイミングの悪さもさることながら、かなり時代遅れの印象がある構文を用いてしまったという感もあります。
私たちも企業の公式Twitterへのアドバイスや運用者向けのセミナーを手掛けていますが、緩過ぎる投稿内容や不適切なテーマには注意が必要です。
どういう目的で投稿するのかに加え、構文の選択もセンスが問われる気がします。自社に関する世論もしっかり把握した上で投稿することが求められるでしょう。

前薗:官公庁の多くは、公式アカウントに投稿する文章が事前に決まっています。公開前の差し止めに柔軟に対応している組織もあるので、もっと横の連携があれば良かったですね。例の入管問題に対する社会の関心も、まだまだ高い状況なのにという印象も受けました。

桑江:野党代議士のA氏も批判を集めています。不適切発言で炎上した著名人のSNSアカウント停止を自身のTwitterで呼びかけ、「言論弾圧ではないか」と指摘されました。
A氏は後日、呼びかけを否定し「誤操作で投稿されたかもしれない」と弁明をしています。
さすがに「誤操作」という言い訳を通すのは難しい気がしますが、その場は逃れることができたとしても、何かあれば掘り起こされるかもしれません。謝るべきときはその都度謝らないと、あとで足を引っ張られることがあり得るわけです。
また、正しい主張に後追いで乗っかったとしても、その主張が行き過ぎていた場合は便乗した側も批判されます。企業アカウントしては、そうした主張に乗る必要はありません。スポンサーとしてコメントしなければならないといった理由がない限りは手を出さないのが鉄則です。

前薗:リツイートや「いいね!」は賛同行為として認められるのが通例です。具体的な意見を表明していないからいいというわけではないということは、SNSを運用される際にご注意いただいた方がいいと思いますね。

「世間に見られても問題ないか?」 自社の活動チェックを

桑江:テレビの経済ドキュメンタリー番組で、奈良県にある超高級ホテルのスタッフ教育の様子が放映されました。大手航空会社から出向した新人女性が働いている姿を映したのですが、その内容自体が「時代錯誤」「ブラック」といった批判を浴びました。
今までならポジティブに捉えられ、企業にとってもブランディングやPRに活用できると思われた番組でも、内容が曲解されて炎上してしまう事例が少しずつ出てきています。
放送される内容をしっかりチェックしないと思わぬ炎上を招いてしまい、逆効果になってしまうことも起こるので、PR・広報担当の方は気をつけなければなりません。

前薗:確かに最近、そうした事例は増えています。PR・広報の立場としては、世の中のフラットな目で見たときに自社の取り組みが外に出ても大丈夫かどうかをしっかり確かめる習慣をつけておかないと、今回の事例と同じ轍を踏んでしまうことが十分起こり得るでしょう。
チェックの仕方によって撮影現場の仕切り方も変わってくると思いますので、その辺はご留意いただいた方がいいですね。

過去の不適切発言を放置すると蒸し返される

桑江:政府の諮問機関の議長に就任した実業家C氏の過去の発言も非難を浴びました。
インターネットテレビ局の番組に出演した際、東京五輪の無観客開催が「子どもの発表会なども無観客で行われていることへの配慮では」と唱えた別の出演者の見解に対し、「そんなクソなピアノの発表会なんてどうでもいいでしょう。五輪と比べれば」という不適切発言をして炎上したのですが、その後の議長就任に際しても懐疑的な声が相次いだところです。
何らかの要職に就くとき、過去に何らかのトラブルがあった場合は蒸し返されます。その場で決着をつけておかないと、どんどん蒸し返されることになるので気をつけなければいけません。
企業の公式アカウントも、企業の要職に就いてらっしゃる方々のプライベートアカウントもそうですが、謝罪すべきときにしておかないと、このような形になると思います。

前薗:C氏はそうしたキャラクターが受けている部分もあるのですが、表に出てくるとどうしても粗探しをされてしまうので、過去の発信にはより注意していく必要があるでしょうね。

桑江:2020年7月に大型遊園地のアトラクションに乗車して負傷した女性は、乗車後の首の痛みを「むち打ち」だと思い、日常生活やSNS投稿をそれまで通り続けていました。しかし翌年8月、そのアトラクションが多数の骨折者を出して運休したことを知ります。女性も病院に行ったところ、第2頸椎の骨折と診断されました。
その後、女性が取材を受けたニュースが放送されると、「うそつき」「金目当て」「売名行為」などという誹謗中傷が届くようになったということです。
このような形で過去の自身の投稿も見られるので、そのあたりも踏まえたリスクを考えなければなりません。過去の投稿を消したとしても残っている可能性はあるので、そうなれば弁明するしかないというところでしょうか。

前薗:新型コロナウイルスの影響が続く中では、テーマパークで遊んでいる光景をSNSに投稿すること自体がリスクになり得るということは念頭に置いていただく必要があります。今回の事例からは、企業内の研修やイベントがそういう目で見られるということを学んでもらうのが一番いいと思いました。

コロナ禍で広がる格差 「上から目線」の指摘に注意!

桑江:東京都医師会のサイト上で公開されたコラムを執筆した医師が、自身が訪れた理容室の対応を「特段、新型コロナへの配慮など感じられない」と評し、「素人でもできる不要不急の商売は次々と潰れていく」と記述しました。その内容がネット上で「上から目線だ」との反発を浴びたところです。
もともとは都下の一医師会の会報に掲載されたコラムで、筆者本人はサイト上で公開されるとは思っていなかったかもしれません。
しかし、今やどこかで発表したものがネット上で拡散されてしまうことは十分あり得ますので、他の業種・業界を見下すような言い回しには注意しなければなりませんね。

前薗:新型コロナの影響で格差が一層拡大していると言われる中では、格差を煽るような論調が簡単に形成されてしまいます。細かい表現にも十分な注意を払わなければ「上から目線」という指摘を受けてしまう可能性があるでしょう。

桑江:毒舌として許される人と失言として叩かれる人の差は「内容」でしょう。もちろん、炎上のしやすさは人となりで変わってくると思いますが、やはり怒る人がどれだけ多くいるかというところだと思います。
ファンを囲っていて、ファンに守られている状態であると毒舌でも許されるのですが、ファンの守りを超えてしまうと大きな問題になると。その条件が「内容」なので、「これはもうだめだろう」というレベルの失言をすれば大きな批判になってしまうという気はします。

前薗:まさにファンベースではないでしょうか。支持してくれるファンの方をどれだけ囲っているか。ファンの方が期待したイメージ通りの活動ができていれば問題ありませんが、それを超えたらアウトということだと思いますね。

賛否両論を見極めた上で行動を

桑江:昼間の情報番組のコメンテーターの失言を受けては、スポンサー企業が自社のCM放送を見合わせました。これまでも同様のケースでスポンサーが番組に申し入れを行うことはありましたが、世の中の反応を見た上でスポンサーを降りる、CMを止めるということも選択肢としては十分あり得る流れになっています。
本当にそうしていいのかどうかは賛否両論をしっかり見極めた上で判断しなければなりませんが、毅然とした対応が正しいと受け止められた場合はCMを放送するより大きな効果を生んでいるのも事実です。

前薗:そうですね。

桑江:賛否両論にちなんで言えば、千葉県警が公開していた交通ルール啓発動画に登場するVチューバーの女性キャラクターに対し、全国フェミニスト議員連盟が「性的対象物として描写されている」と主張、問題の動画は削除されました。
その一方、表現の自由の観点からの抗議や議連宛ての公開質問状も多く見受けられたところです。
つまり「けしからん」という指摘への批判が起こったということですが、何らかの抗議や批判を受けたからといって安易に反応してしまうと、それ自体が批判される可能性もあります。世の中の論調をしっかりと見極めた上で行動しなければならないでしょう。

前薗:ジェンダー関連は、「行き過ぎだ」と受け止められる論調に対して揺り返しが起きてきているテーマです。日本はサブカルチャーやアニメが発達していて、類似コンテンツも多いので、議論の行方を見守っていかなければならないと思います。
ネットの行き過ぎた正義感はかねて問題視されてきているので、安易に謝罪するのは良くないでしょう。まずは起こっている問題の事実関係を確認し、事実であれば速やかに謝罪対応を取る。過去の事案を見ても、そうすることで販売差し止めや営業停止までには至らずに済むケースが多いというのが実感です。
いきなりキャンペーンや販売を止めるのではなく、何に対して謝ればその問題を最小化できるのかという観点で対処していただくのが良いと思います。

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