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タレント起用・災害予言・ブログ発言…“想定外の波紋”への企業の打ち手とは(デジタル・クライシス白書-2025年6月度-)【第135回ウェビナーレポート】

タレント起用・災害予言・ブログ発言…“想定外の波紋”への企業の打ち手とは(デジタル・クライシス白書-2025年6月度-)【第135回ウェビナーレポート】

※2025年6月25日時点の情報です

自社サービスの導入事例記事に不適切な内容を記載

桑江:Adobeが公開した、自社サービスの導入事例に関する記事も物議を醸しました。記事は自社サイトの「Adobe Blog」に掲載された「Adobe Creative Cloud Proエディション」の紹介で、実際に導入したヤクルトの実例を取り上げました。

その中で、ヤクルトの担当者がデザインのラフを作成する際、ストックフォトの画像に入っている「透かし(ウォーターマーク)」を、見栄えが悪いという理由でPhotoshopを使って消していたと語る部分がありました。

しかし、この「透かし消し」行為は、多くのストックフォトサイトにおいてライセンス規約違反にあたる可能性があり、SNS上では「規約違反では?」「Adobeがそれを紹介するのは問題だ」という批判が相次ぎました。

批判を受けて、アドビは後日記事を修正しています。記事には「採用が決まった場合、本番画像を購入して差し替える」という一文を加え、最終的には正規に素材を購入していることを明示しましたが、「事故につながりかねない危険な作業フローだ」「クリエイター向けサービスを手掛ける企業として不適切」といった批判の声が上がりました。

前薗:関係者が誰一人として違和感に気付かなかったということが、一番の問題かと思います。

こうしたコンテンツについては、CMなどを手掛けるクリエイティブ部門とは違う部門が担当することも多く、本来行うべきクリエイティブチェックを通していない可能性もあります。社外に出す制作物については、すべてチェックが必要です。

公式Xの父の日企画に「時代錯誤」などの指摘

桑江:読売巨人軍の公式Xによる父の日にちなんだ投稿が大きな波紋を呼びました。巨人軍の公式Xでは「#父とジャイアンツ」のハッシュタグにイラストとコピーを添え、父親とジャイアンツの思い出を尋ねる内容で計6回投稿されました。

そのうち、批判的な意見が多数寄せられた投稿には、テレビの前に腰掛けてガッツポーズをする父親の姿が描かれ、「父のキゲンは、巨人が決めている。」とのコピーが書かれています。

これに対し、ネット上では「時代錯誤では」「これで野球が嫌いになった」など否定的な声が続出しました。「負けたときは適当な理由をつけて私を蹴りつけていました」「他の番組を見たいのにゴールデンタイムに野球、しかも見ているのは親父だけでただの地獄だった」など苦い思い出をつづった投稿が多数ありました。

なお、本件について巨人軍からのコメントなどは発表されておらず、投稿の削除も行われていません。

前薗:こうした事案では、「この画像やクリエイティブがどのようなイメージを持たれるのか」ということが十分に考慮されていないケースが多いのではないかと推察されます。

父の機嫌の良し悪しが家庭にどんな影響を与えるのかということも、キャッチコピーを考える段階で考慮できたのではないかと思います。

女性ライバーがカラオケルーム内で不衛生行為を配信

桑江:続いては「客テロ・カスハラ」です。ラウンドワンジャパンは、大阪市内の千日前店で「極めて悪質な迷惑行為」が発生したことを公式サイトで発表しました。

5月26日、ライブ配信サービス「ふわっち」の女性配信者が、ラウンドワン内のカラオケルームで備え付けのグラスに放尿し、それを飲んだ後に嘔吐する姿を配信しました。

同日、配信者からの申告を受けて事態が発覚し、店舗側は直ちに該当する可能性のあるグラスを全て廃棄、ルームの消毒と清掃も行っています。

翌日には、公式サイトに「当社施設における迷惑行為に関するお知らせ」を掲載し、「配信者と話し合いを行うとともに、警察に相談し、刑事および民事の両面から厳正に対処する」と説明しました。

さらに、「本件を受けて、全店舗において衛生管理状況のさらなる確認を実施していく」としました。配信を行った女性は、5月28日に自身のXで本件について謝罪し、「決して許されることではないが、損害に対する処罰を誠心誠意受け入れ、償っていく」と表明しています。

前薗:民間企業が罪の重さを決めることはできませんが、警察に速やかに届け出て捜査・逮捕・送検などの手続きに載せていく一方、民事訴訟で損害賠償請求を検討する手続きを機械的に進めていけば問題ないと思います。

客とみられる男性が従業員を怒鳴る動画が拡散

桑江:高級ブランドAの店舗入り口で、客と思われる男性が店員に対して大声で怒鳴っている動画がSNS上で拡散し、話題となりました。

Xに投稿された動画では、男性客と思われる人物が女性店員に「常識がないんかコラ!」と大声で怒鳴り、別の男性店員と一緒になだめようとしている姿が映っていました。

この動画が拡散されると、SNS上では「全店出禁だろ」「警察に通報すべき」など、男性客を批判する意見が相次ぎました。

本件は、TikTokに投稿された動画がXにアップされ、それを拡散力のあるXアカウントが取り上げたことで拡散されています。

また、TikTokには「心斎橋の店舗で罵倒しており、店員さんが怯えていて可哀想。何事?」と店舗が特定できる情報が含まれていました。

前薗:企業として従業員を守るという観点は大切ですが、クレームが発生した際に現場でどう対応するかというマニュアルを、改めて見直していただきたいと思います。

顧客を守るという観点も持ったうえで対応しなければ、顧客の肖像権がむやみやたらと侵害されたという批判を受けてしまう可能性もあります。

AIが要約してXに自動投稿した内容が不適切だったとして謝罪

桑江:次は「AI関連」です。マンションの物件情報を紹介するサイト「スムログ」の公式Xに不適切な投稿があったとして、運営会社のミクルが謝罪しました。

5月30日、スムログの公式Xが「港南の合流下水道によって未処理下水が運河に放流されている」や「豊海再開発の疑惑がNetflixで映像化されるかもしれない」といった内容を投稿したことがSNS上で話題となりました。

それを受けて翌日、同社は公式Xおよび「スムログ」にお詫びを掲載し、「調査の結果、直近で導入したAIがマンションコミュニティ(自社の別サイト)のスレッドに投稿された内容を要約して自動投稿を行ったことが原因であった」と説明しました。

しかし、「スムログ」に掲載されたお詫びページに広告が表示されていたことや、公式Xと同サイトのお詫びが早々に削除されたことで、同社の対応を疑問視する意見も見受けられました。

前薗:AIで作成したコンテンツを、ノーチェックで公開することは避けるべきです。また、本件については謝罪対応にも問題があり、目立たせないよう削除する行為は逆効果となります。

古米を「ヴィンテージ米」と称して物議

桑江:最後は「その他」です。ローソンが古米を使用したおにぎりを関東の一部店舗で7月から発売すると発表しました。しかし、商品名が「ヴィンテージ米おにぎり」となることが物議を醸しています。

このおにぎりには、2023年や2022年などの生産年度が記載される予定です。「ヴィンテージ米」の名称には、古米に対する認識をアップデートさせる狙いがあるといいます。

しかし、SNS上では「名前を変えても、目的は古い米の在庫処分」「経年劣化している米を、名前を変えてごまかしている」「物は言いよう、っていう慣用句があるけど、まさにこれだな…2023年産米がヴィンテージなら、備蓄米はなんなんだよ…」などと批判的な声が上がりました。

前薗:備蓄米は賛否両論があるトピックスなので、批判の矛先も向けられやすかったのではないかと思います。

今回はリリース時にネーミングに秘めた思いや意図を説明していたためか、特別な対応をするほどではありませんでしたが、強い批判があった場合にはすぐに対応することが求められるため注意が必要です。

「水俣病は遺伝する」誤表記に危機管理能力を問う声

桑江:家庭教師サービスを運営する総合教育企業Bが、中学生向け映像教材において「水俣病は遺伝する」と誤った内容を10年以上にわたり配信していたことがわかりました。動画はアプリで推計7000回、YouTubeでは7万回以上再生されていたといいます。

「胎児性水俣病は遺伝してしまう」との表現に対して患者団体が問題を指摘したもので、これを受けた環境省が同社に訂正を要請しました。

同社は5月23日に公式サイトで「不正確な表現だった」と謝罪し、該当の教材を非公開としています。その後、6月4日には「水俣病被害者・支援者連絡会」に文書で謝罪し、6月6日には再発防止策を発表しました。

ネット上では「あってはならないミス」「教育産業を名乗る企業がなぜこんな間違いを犯すのか」など、企業体質や危機管理能力を問う声が続出しました。

前薗:意図的や故意で書かれた内容ではなかったものの、正解とされる学説やトレンドは時代とともに変わっていくものです。本件は、そのような変化に即したコンテンツ修正の仕組みやチェック体制が確立されていなかったことが問題でした。

ラーメン内でうごめく生物の動画が拡散、全店休業に

桑江:ラーメンチェーン「来来亭浜松幸店」で提供されたラーメンに、ウジ虫らしき生物が混入していたとする動画が拡散されました。来店客が「昨日来来亭でラーメンを食べようとしたらウジ虫が…お気に入りの店だったので残念です」とコメントし、丼の中でうごめく生物を映した動画をXに投稿しました。

動画が拡散されると、X上では「気持ち悪すぎる」という声が多数寄せられ、同時に「加熱処理しているはずなのになぜ?」といった衛生管理に対する疑問も多く上がりました。店側は調査のために、投稿者に動画の削除を要請、一度は削除されましたが、他のアカウントによって再投稿され、再び拡散されました。来来亭は、全店舗を無期限の一斉臨時休業としています。

前薗:来来亭の判断は、多くの飲食チェーンにとって重要なものです。本件は単体店舗の問題で、かつ現物が回収できていません。それにもかかわらず、全店休業の判断を行った前例をつくったことで、同様の事案が発生した際に追随しない会社への糾弾が厳しくなることが予想されます。

自社で同様の問題が生じた際にどのような判断を下していくのか、あるいは証拠保全の方法の見直しなどの転換点を迎えているように思います。

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