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アイデンティティー権の活用範囲

最近、「成り済まされない権利認定」というタイトルのニュースが話題になっていたことをご存知でしょうか。これは、自分に成り済ました人物を特定するためにプロバイダーに開示を求めたという訴訟です。大阪地裁は、他人に成り済まされない権利として「アイデンティティー権」を認めました。今回は、このアイデンティティー権について現段階での見解をお伝えいたします。

なりすまし問題

そもそも成り済ましとは何かという部分ですが、成り済ましとは、本人とは全く別人が本人のように装って投稿をしていることを言います。SNSでは度々、本人だったと思って日々の投稿を見ていたら、実は成り済ましだったという事象が発生しています。
芸能人のfacebookでもいくつかこのような報道がありました。ここで問題となるのは、見ている側としては、本人かどうかの判断がつきませんので、その投稿内容を本人の投稿だと思って捉えてしまうことです。そのアカウントが不適切な発言をしてしまうと、実際には本人が運営していなくとも、そのような人物なのだと誤解を招いてしまうことになります。

なりすましの判断

Facebookページを検索すると、いくつも本人が運営しているようなページが出てくる場合がありますが、その場合はなりすましをされている可能性が高いと判断してよいかと思います。また、他のSNSと言動や内容の整合性がとれているかどうかも判断軸になるかと思います。ファンの数だけですとどうしても先にアカウントを作ったほうが多くなってしまうことがありますので、それだけで判断するのは危険かと思います。

今後の適用範囲

今回はSNSが対象ですが、掲示板でも同じように開示が認められる可能性はありそうです。2ちゃんねるのような匿名掲示板では、本人が発言しているかのような内容を投稿しているものも多く見られます。匿名性ということで、おもしろおかしく議論を進めているのだとは思いますが、今後はこのような掲示板での事例も出てくる可能性があると考えられます。

最後に

最近、個人のみならず企業の公式アカウントにおいても同様の現象が見られています。企業の公式アカウントであるかのようなタイトルや画像を設定して成り済ましで運営されているケースが多発しています。投稿内容を見てみると、企業に対する誹謗中傷ばかりだったというケースも見られています。既に悩まれている企業も多いかと思いますので、そういった企業にとっても今回の司法判断は朗報だったのではないでしょうか。公式アカウントを保有していない企業でも、まずは自社のTwitterやfacebookでも成り済ましが発生していないかは確認しておいたほうが良いかもしれません。放置しておくと、いつの間にか成り済ましアカウントが検索結果の上位に表示されるようになってしまう可能性も考えられますので、早め早めに対応を検討することをお勧めします。