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トラブルが報じられた富裕層向けサービス業。リスクを回避する社内外のコミュニケーションとは。

活用ソリューション
マニュアル策定 Web/SNSモニタ…
トラブルが報じられた富裕層向けサービス業。リスクを回避する社内外のコミュニケーションとは。
業種
外食
エリア
関東
従業員数
500名以上

今回ご紹介するのは、富裕層向けサービス業のA社でのトラブルに端を発した危機管理対応事例である。創業社長と外部から招聘した経営陣が対立、訴訟までに発展した。本件がメディアに取り上げられてしまうことで、企業イメージや営業活動に大きな影響が出る可能性があったため、それを防ぐべくシエンプレに相談。

シエンプレは、対策プロジェクトが発足し、事実関係の整理、世論の調査、コミュニケーションスタンスの決定、リリースの準備等を進めた。
また、並行して社内へのコミュニケーションリスクにも対応を実施した。創業者に畏敬の念を抱いている社員も多い中、新経営陣としてはいかに社員とのコミュニケーションを取るかという観点も重要なポイントであった。

創業者と新経営体制の間でトラブル発生。各種メディアでも報じられる。

A社は富裕層向けサービス業を展開する上場企業。カリスマと言われた創業者は数年前に代表権のない会長に退き、創業者の右腕だった取締役が社長に就任した。当時の業績は緩やかな右肩下がり。新社長は有効な手立てを打てず、業績不振が続いたことで外部からの経営陣を招聘し、経営体制の刷新が図られた。株主によって送り込まれた新しい経営陣による経営改革の最中、一線を退いた創業者の影響が、いまだ色濃く残っている点が課題として明らかになった。

特に問題だったのは、創業者が経営するB社とA社との間の取引。
その取引の内容は、A社にとって不利な内容であり、通常であれば締結しないものだった。

創業者は、A社の経営から退いた後、新しくB社を設立。創業者がB社との取引をA社に働きかけると、創業者に恩義を感じる社員の多いA社はその内容が不利であると知りながら、むしろ喜んでそれを受け入れていた。

創業者はA社の大株主でもあるため、新経営陣はこの取引が利益相反になるとし、B社との取引を解除した。しかし、創業者はこれを契約違反であると意義を申し立て、損害賠償請求を実施。折り合いがつかず、法廷沙汰にまで発展した。

メディアもこの問題を有名企業トラブルとして取り上げ報道した。A社は富裕層向けのサービス業。会社のイメージ悪化が営業上の大きな打撃になると想定し、報道やインターネットでの炎上によるダメージを最小化したいと考えた。

しかし、内容が内容だけに、支援先の選定も慎重に進めた。信頼のできる取引先に相談をしたところ、このようなトラブル対応のときはこの会社に頼ると良いと、シエンプレを紹介してもらった。

報道後の対応、スタンスの決定とモニタリングがポイント

相談を受け、シエンプレでは対策プロジェクトを立ち上げ、まず初めに、A社がどのような立場を取るか=コミュニケーションスタンスを決めることを提案した。業態の特性上、会社のブランドやサービスの品質を疑われるのが最も損失が大きくなる。そのため、今回のトラブルはあくまで企業間取引の問題であり、お客様に提供されるサービスの品質にはなんら影響はないということをコミュニケーションスタンスの中心に据えて、各種取組を計画、実施していった。

メディアからの取材に対しても、上記のコミュニケーションスタンスを前提に対応を行うよう指示した。結果、この問題を報道した大手メディアも、あくまで訴訟が行われている事実を報道したのみで、B社、A社どちらかに偏ったり、サービス品質への言及はなく、ブランドに直接ダメージを与える内容はなかった。A社からも、サービス品質に影響はないことを会社の公式見解として発表、その際のプレスリリースの方針策定、添削を実施した。

プレスリリース発信後、実際に目論見通りの反応を世間がしているかを注視し、もし想定通り行っていなければ、再度追加のプレスリリースを発信するなど、軌道修正する必要がある。そのために、世間の声=インターネット上の声をモニタリングした。

モニタリングのポイントは、サービスの品質などを疑うような声がないかどうか。そのような声があった場合、事前に準備しておいた次の一手を取る必要がある。
しかし、モニタリングの結果、お客様は今回の件に対して、「よくある会社間取引のトラブルでしょ」と、あまり興味を示していないことが分かった。初期対応の効果もあり、こちらが意図していない事案や誤解などは生まれず、対外的なコミュニケーション支援についてのプロジェクトは収束した。

メディア対応だけでは不十分。社内コミュニケーション対策も。

ここまでメディアや世間など社外への対応を見てきた一方、今回のプロジェクトは、社内への対応も並行して実施することが重要なポイントだった。創業者と新経営陣の対立は、社内には特に大きな動揺を与える可能性があった。従業員の多くは、創業者を強く尊敬しており、外部から招聘された新経営陣に対する不信を生み、今後の経営に支障を来すことが最悪のケースだった。そのような事態を回避するべく、シエンプレは社内向けに状況や事実の説明を丁寧に行うよう指示。あくまでも企業間取引についての対立であり、創業者への尊敬や感謝を失っているわけではないということをしっかりと伝えるようアドバイスした。

また、もう一つの大きなリスクとして想定したのは、従業員発信の風評被害だ。
たとえば、従業員に対するメディアからのインタビューや、メディアやブロガーが素性を隠して来店し、情報収集をしてくる可能性があると想定。その際、従業員の受け答え次第で、A社が意図していない形で報道されるリスクがあると考えた。

そこでシエンプレは、社内向けのQ&A対応方針を定めた。

この問題に対する質問を受けたときにどのように答えればいいか、マニュアルを作成。全従業員に覚えてもらった。
また、インタビュー依頼などがあった場合は誰にどのように相談、報告すればいいかなどを定め、コミュニケーションラインを統一した。結果、最終的には本部にすべての情報を集約することができ、従業員から意図しない情報が出てしまうことを防ぐ体制を敷いた。
結果的には、いくつかインタビューの依頼はあったものの、すべて経営陣の把握している範疇を出ず、問題につながるような事態は一切起こらなかった。

その後は、引き続きモニタリングを行い、経過観察を行った。
特にメディア等で取り上げられることがなくなってきたタイミングでプロジェクト終了とした。

危機管理対応でもとめられるもの

今回のケースでは、創業者と新経営陣の対立として、いくつかのメディアに取り上げられはしたものの、そこはあくまでも想定内。懸念していたリスクシナリオは回避でき、A社にとって大きな打撃には至らなかった。

何かしら事件が起こってしまった以上、一切の波風を立てないことや、隠し通すことは不可能である。下手に隠し通そうとすれば、隠蔽をしようとする悪い会社である、と逆に風評被害に遭いかねない。

本件のように、受け入れる部分と回避する部分を切り分けて、コミュニケーションスタンスを決めること。その後の各施策に対して想定通りの反応を得られているかモニタリングすること。
これらをスピーディかつ正確に実施することが、危機対応では求められる。

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